ギックリ腰!-5
そこへ…
「徳永さん、おはよう!」と、制服姿の1人の女性が挨拶して来た。
髪を後ろに束ねた、私よりすこーし小柄の…
笑顔最高、元気ハツラツの女性。
外来受付で案内係やっている井上理美さんだ。
私と同じ年齢(共に42歳)で、私がココに通院するようになってから、親しくなった。
「おはようございます」
挨拶した私。
「そちらの方は?」
「ウチの主人です」
「ああご主人さん」
「この人も、ギックリ腰になっちゃって」
井上さん、オーバーに顔をしかめた。
「あーららァ、それは大変だ! 歩けますぅ?」
「まあ、何とか」
「夫婦揃ってギックリ腰だなんて、とんだ災難だよネェ」
「そうですよネェ」
そう、井上さんの仰る通り……私も主人も、とんだ災難なのだ。
この後、何とか受付にたどり着いた主人は整形外科の初診手続きを行った。
…と言っても、私が代行して手続きしたんだけどね。
待つこと約2時間、主人はアナウンスで呼ばれ、整形外科第2診察室で受診を受けた。
レントゲン撮影での診断の結果、私と同じように椎間板ヘルニアと分かった。
しばらくは私と同じようにリハビリによる治療を続ける事になった。
私が週2、3度通い続けているリハビリに主人も通い始めるのだ。
この日は私もリハビリを受けた。
ベッドで横になって電気治療を受ける私の横で、主人は椅子に腰掛けて腰辺りに探照波(患部に赤外線当てるヤツ。
専門家の方々、間違っていたらゴメンナサイ)を当ててもらっている。
すこーしばかり熱いけど、これが又…ほんわかして気持ちイイのだ。
私は腰辺りに電気のピリピリ感を味わいながらウトウトしている。
「あーら奥さん、おはようございます」
隣のベッドで同じように腰辺りに電気を当てている年配の女性が、私に声をかけて来た。
寝そべったトドみたいな体制にしているこのマダムは…顔馴染みの常連さんの矢崎さんだ。
年は68歳。
1年前に旦那さんを癌で亡くされている。