ギックリ腰!-4
「お前の場合は、ケツがデカいからギックリ腰になったんだろう?」
「!」
私は主人の右太ももをギュッとつねてやった。
「イテテテテーッ!
おま、ワザと!」
「フンッ!!」
私はアッタマ来ちゃったから、何も言わない事にしちゃった。
あーあ、これが夫婦同士のクルマの中でのツマラナい口喧嘩なのだー。
しばらく走って着いた所は、私が通うグランメッセ病院。
そこは内科、外科、整形外科、外科、眼科等が揃う中規模の総合病院。
患者思いの面倒見のイイ先生(しかも、ウデは確か)が揃っている事で、地元ではとても評判が高いの。
施設自体、周りを緑に囲まれた静かな場所に建っていて環境は悪くないかな?
玄関前に来ると、車寄せに愛車を横付けした。
私は先に降りて、助手席のドアを開けた。
主人は一息付いて、体を動かそうとする。
だけど、腰辺りがピリピリしているから、下手には動かせないの。
無理に動かそうとすると、ズキィーンと来ちゃうから用心用心。
それでも主人は何とか重い腰を上げ、ゆっくりとクルマから降りた。
地面に足を着いて立った時の主人の後ろ姿…
背骨が曲がっているから、体が右横に傾いちゃって……辛そう。
「歩けそう?」
「何とかな」
「無理しないでね」
ゆっくりと歩き始める主人。
片手で腰辺りを押さえながら、一歩一歩足を進めて行く。
途中で足が止まった。
ズッキィーンと、腰辺りに激痛が走って足が進まないと言う。
苦痛に歪む主人の顔に、汗が滲み出ている。