ギックリ腰!-2
「イイ加減にしなさいよ、ったくもォッ!」
横でハンドル握る私は呆れた顔をする。
主人は今、私の運転するクルマの助手席に座っている。
今は月曜日の午前10時6分頃。
天気はまあまあ。
本来なら主人、今頃は会社のオフィスでバリバリ仕事しているハズ…
でも今日は、有休取っている。
別にサボっているんじゃないのよ。
あのね、主人たら…
私と同じように、ギックリ腰になってしまっちゃってネェ。
だから今、私がリハビリで通うグランメッセ病院に向かっているの。
腰に違和感を感じるようになったのは、昨日の朝だったかしら?
それから少しずつ、ピリピリと痛むようになって来たみたい。
そして、今朝…
「お、オーイ! ひ、宏美ィーッ!」
まあ主人たら、捕獲器に掛かったネズミみたいに1人でパニックになっていたの。
ギックリ腰って動くと相当、痛いのよネェ。
主人だって、同じ感覚かしら?
布団から起きるだけでも一苦労するぐらい、ヒドくなっちゃっているんだから。
主人は私に文句言う。
「イテーなもう!
お前、オレの腰を叩いただろう!?」
私は反論する。
「横でワーワー言われちゃあ、うるさいからよ」
「だからと言って、強く叩くこたあねえだろう? ワザと急所を狙ったなお前?」
「狙ってません」
「イヤ、狙った」
「狙ってませーん!」
「いーや、絶対に狙った。絶対に」
「それよりも、なーに顔しかめて1人で妄想してんのぉ?」
「妄想じゃねえよ」
「じゃ何よ?」
「お前のなぁ…ええっと…」
「ええっと…?」
「何て言ったらイイ…」
「何て言ったらイイ?」
「うーん」
「男ならズバッと言いなさい!」
ハッキリしない主人に、私はイライラ!
私って、気が短いの。