reality ability‐第12話‐“真実”の敵、‥‥ナイトメア・アビス──‐-5
「‥今は【真】だけで充分だろう?織音の言う通りに俺は数種類の刻印を持っている。」
皇希は目の前の敵を倒していく。織音の言った通りに皇希は刻印を数種類持っているようだ。だが、証拠となる事はしなかった。
「‥‥皇恵の事はまだ言えない。これは“切り札”として俺が用意した。」
皇希はチラッと織音を見た。織音はその瞳を見た。彼女の視線は珍しく睨んでいた。
「誰に対しての?‥‥少なくともカオスではなく、統神 晴那でもないでしょ?」
織音は強気な発言だった。やはり確信を持っているようで、その表情や視線からは間違ってないという自信が感じられる。
「‥なぁ、それを知ってどうするんだ?」
「皇の本当の目的は何なの?‥それは“自由”になる事じゃないの?」
皇希の質問に即答で返す織音。皇希は織音の言葉を聞くと立ち止まった。そして、振り返りこう喋った。周りには敵はいない。
「‥何故、“自由”が俺の目的だと思う?」
その表情は今までにない表情だった。怒っているようにも悲しんでいるようにも見えた。
「確証はないから、強気では言えないけど。‥‥簡単よ。皇は中心人物だもの。それを考えればね。」
織音は笑うような表情で言った。‥‥その“答え”が次の皇希の行動で示された。
「‥‥」
皇希は無言になり、振り返って前に進み出した。織音は‘また逃げたわね’と物語る表情で追う。
‐それから数分後、最上階の玉座の間‐
バタン!という音が部屋に響き渡る。‥‥鎧を身に纏っている男性は椅子に座っていた。もちろん、カオスである。
その部屋は一般的な内装だった。カオスの座っている椅子の前には数段の階段があり、中心の通路には絨毯が敷かれていた。かなり大きな部屋でもある。
カオスは2人を見た。皇希と織音は無傷。それに驚かずに平然としている。ただ、威圧感だけを漂わせていた。
皇希が動く。刹動で。だが、階段の所で弾かれる。皇希が空中で一回転し無事に着地する。更に隙無く動いた。
幻想具現化で‥‥無放剣で切り裂き、カオスに近付く。カオスは腕を前に出し玉状のモノを皇希に当てようとする。
それは急速な動きで皇希に当たる。が、皇希は受け止めた。顔が一瞬だが俯いた。するとカオスが動き出した!一瞬で皇希の右隣に移動する。
そして、皇希の脇腹に掌を当て発勁(はっけい)を使った。
「ぐっ!?」
皇希が思わず声を出す。皇希はブッ飛んでいくが、壁に当たる前に体勢を変える。カオスは皇希の方へと自ら動く。
皇希は壁に立つような体勢で着いた途端に足を曲げた。バネのように勢い良くカオスへと向かう。