「午後の人妻 童貞嫐りE」-3
ある平日の午後のことだ。
昼休みの繁忙タイムを終え、客足が途絶えて店内は閑散とした時間帯であった。
そのときシフトについていたのは、
店のオーナー夫人と由子のふたりで、
夫人がレジカウンターで伝票の整理をし、
由子は袋入り菓子類の棚の整理と品出しをやっていた。
そこにひとりの見慣れない少年の客がやってきて、
雑誌コーナーで立ち読みをはじめた。
それを商品棚の陰から見ていた由子は、
その少年から目が離せなくなった。
彼は目を奪うばかりの美少年だったからだ。
白磁のような透き通るような肌をして、
細面(ほそおもて)の顔に、
やや憂(うれ)いを含んだような表情をした美形の顔立ちである。
そのまま歌舞伎の舞台に女形(おやま)として立たせても、
プロの役者に遜色(そんしょく)がないように思えた。
こんな全(まった)き美しさをもった少年の股間にも、
夫など凡百の男どもと同じ、
醜悪(しゅうあく)なペニスが蔵(ぞう)されていようとは、
信じられなかったし、
信じたくない思いであった。
この前、
亨と初めて肉体を交したときに、
彼が由子の女性器を見て、
それと同じものが清純派タレントの股間にも佇まっていることに、
ショックを受けていたが、
それを裏返しにした現象といえよう。
こっそり少年を盗み見る由子の胸がキュンとなっていた。
いや、
そればかりか股間のほうもキュンとなって、
何かが少しばかりしどって濡れたようでもあった。
この美少年と何とかしてお近づきになるきっかけがほしいと思ったが、
そんなに具合よくきっかっけを思いつこうはずもなかった。
由子は商品棚の整理の手もとどこおりがちになって、
彼の姿に見惚(みと)れたようになっていた。
その由子が見守るなかで、
美少年の挙動が少しずつ怪しげになっていた。
彼は2冊ほどの雑誌を手にしながら、
しきりにレジカウンターにいるオーナー夫人の動きを、
気にしているようであった。
ただ、彼は由子が背後の商品棚のところにいるのは、気づいていないようだった。
少年はレジカウンターばかりを気にして、
そちらに隠すようにして雑誌を持っていたが、
それが由子のところからは丸見えなのである。
レジカウンターにいるオーナー夫人が、
こちらに背を向けて、
棚のタバコカートンの整理をはじめたときであった。
美少年が手にしていた2冊の雑誌を、
脇に挟んでいたスポーツバックに、
サッと放り入れたのだ。
万引き。
由子は商品が万引きされる瞬間を見てしまった。