エリザベス・悲劇の人形たちX-3
「チャムイ! チャムイ! チャムイ!」
ルルが寒さのあまり、1人でパニック状態になっている。
無理もない。
子供人形たちは、寒さに凄く弱いのだ。
しかもである。
エリザベスはグロリアスから借りたオーバーコートを羽織っているが…
入浴の途中だったルルは素っ裸のままなのだ。
「元気デネ。天国デ幸セニ暮ラスノヨ」
エリザベスはルルをそのまま橋の下へ放り投げてしまった。
遥か下を流れる川へ落ちて行ったルル。
ギィイイヤァーッ!!
下の方からルルの叫び声が聞こえて来る。
エリザベスは何も言わず、立ち去って行った。
お風呂の後は楽しい食事の時間だ。
しかも今夜は、普段の夕食よりもメニューが豊富である。
何よりも食べる事の大好きな子供人形たちにとっては、今夜の食卓は格別のものだろう。
目の前には沢山の豪勢な料理が並んでいるのだから。
最初に料理を見た時、子供人形たちは目を輝かせた。
「ワァーッ! ゴチチョウ(ご馳走)!」
「ゴチチョー!」
「ミャミャギャ、チュキュッチャニョ?」
(ママが、作ったの?)
エリザベスママは満足そうな表情で答える。
「ソウヨ、ミーンナ、ママガ、作ッタノヨ」
子供人形たちは益々、目をキラキラさせた。
「チュゴーイッ!」
(すごーい!)
「チュゴーイッ!」
「ミャミャ、チュチェキ!」(ママ、ステキ!)
「チュチェキ!」
「ワチャチチャキ、チアワチェ!」
(私たち、幸せ!)
「チアワチェ!」
エリザベスママは大喜びである。
「サァ、ミンナデ、頂キマショウ!」
「イチャヂャキミャーッチュ!」
(いただきまーす!)
待ってましたかのように、子供人形たちは一斉に食べ始めた。
食べ盛りなので皆、バクバクガツガツと食べまくる。
エリザベスママは食べ物には一切手を付けず…
子供人形たちの食事を見守るだけである。