エリザベス・悲劇の人形たちW-1
「ミッ、ミャミャー!」
キディは火だるまとなって、床を転げ回った。
身長15センチも満たない小さな体を激しい炎が蝕んでゆく。
「キディッ! キディッ!」と、狂ったように叫び続けるエリザベス。
だが助けられない。
自らがグロリアスに超能力をかけられて金縛り状態だから、どうする事も出来ないのだ。
「グゥワーッ! グゥワーッ! グゥワーッ!」
苦痛な叫び声を上げる火だるまのキディ。
しばらくして、グロリアスはバケツの水をキディにぶっかけた。
白い煙が上がって、火は消える。
その後…
自由になったエリザベスはボロ着を与えられ、物置に連れて行かれた。
ずっと以前から、物置にしまい込んでいた檻に入れられてしまう。
檻は中形動物飼育用で高さ1m58?、幅1m、奥行き1mサイズの頑丈な作り。
内部は人間の大人1人でも若干、スペースに余裕がある。
「キディ…」
汚れたバスタオルに包まれた黒焦げの我が子を、エリザベスママはしっかりと抱いていた。
タオルを介して、かなりの熱と震えが手に伝わって来る。
「ヒャフィ! ヒャフィ! ヒャフィ!」
激しい息づかいだ。
キディは激痛と熱さ、恐怖感に襲われ、かなりの痙攣を起こしている。
全身黒焦げ状態で、顔も焼かれて目は殆ど見えないようだ。
エリザベスママは助けられなかった事を悔やみ、ただ泣くばかり。
そこへグロリアスがやって来た。
「おチビちゃんの具合はどうかしら?」
エリザベスはカッと目を見開き、今までにない憎悪と怒りをグロリアスに向けた。
「コレダカラ、人間ト言ウ者ハ、野蛮ッ!」
人間が、野蛮?
グロリアスは大笑い!
「へぇー。アンタの口からそんな言葉が出るなんて、意外ネェ」
「許セナイッ!!」
強気のエリザベス。
グロリアスは腕を組み、堂々とした姿勢を取っている。