振り向けお前っ! 13話〜コタエ〜-9
「深夜に、悠太の声はよく響くわねぇ。」
「・・・・そうですか。」
多分、「もういい、言わなくていい!!」の部分のころから
聞かれていたんだと思う。
「だからこれでおあいこ、謝る必要なんかないわよ。」
そう言うと阿佐美は明るく笑う。
「よし、すっきりした!お茶でも持ってくるから待っててね。」
「え、ええ。」
そういうと阿佐美は自分の部屋を出ていった。
「はぁ?・・。」
そして誰もいない部屋で愛華は一人ため息をついた。
その愛華の心中には一つの考えがあった。
愛華は阿佐美に悠太を好きだといった、でも悠太に伝える答えは違っていた。
阿佐美と悠太のことを思って。
彼女はある決断をした・・・・・・
それは彼女がやさしいからであってこそ決めたことであり。
もしかしたら、過去にあったように友人と呼べるものが無くなるのがいやだからこそこの決断をしたのかもしれない。
「ふぅ・・。」
そんな事態が起きていることを知らない悠太もまた部屋で一人ため息をついていた。
答えを待つもどかしさに。
そして、阿佐美の顔が頭をちらちらとよぎることに
それぞれ違う答えであっても、いつしかそれが同じになる。
この関係に一刻一刻と終わりが近づいていた。
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