振り向けお前っ! 13話〜コタエ〜-8
「あの、ね、愛華ちゃんは、もしかして・・悠太のことが好き・・・・なの?」
そんなことを聞かれた、薄々予想はしていた。
家に呼ばれた時点でもう、そんな話だろうと、思っていた。
愛華は迷っていた。
正直に答えれば阿佐美との関係が崩れそうで怖かった。
しかし、嘘をつけば、阿佐美はホッとするだろう。
だけど、自分自身に嘘をつきたくなかった。
好きなのだから。
でも答えが出せない。
どう答えたらいい?
もしそんな事無い、と言った場合、悠太にも出す答えが限られてしまう。
愛華はしばらく考えた後はっきりと答える。
「・・・・はい。」
と一言、力強かった。
その瞬間阿佐美の顔が曇った。
やはり心の隅でこう答えないことを望んでいたのだと思う。
だけどその曇りも一瞬だけだった。
「あーあ、思わぬ強敵が出てきちゃったわね。」
「え?あの・・・」
拍子を抜かれた。
「私もあいつのことが好き。」
そして自分からそう言ってきた。
「ありがとね愛華ちゃん。」
「・・・え?」
「正直に言ってくれて。」
「それは、気づいていたってことですか?」
「薄々・・ね、朝からずっと気にしている様子だったもの。」
そう言うと阿佐美は黙り込んでしまう。
その時愛華が口を開いた。
「あ、あの、阿佐美さん、その・・ごめんなさい。」
「フフッ、何で謝るの?そんな必要ないわよこれからはライバル同士なんだから。」
「で、でも、私・・・」
「知ってたわよ。」
「え?」
「私が告白してるところ見ちゃったんでしょ?」
「・・・・・気づいてたんですか。」
「うん、そうなると私も謝らないといけないわね、私も気づいてたから。」
「謝る?」
「悠太に答えを求められた。」
「―――ッ!」
そう知ってたのは自分だけじゃなかった。
阿佐美も知っていたのだ。