Lesson xxx 2-3
「お前が誘ったんだろ」
「…………!」
机に頬杖をついて、言葉を失った私を見上げて意地悪く笑う。
悔しいっ!
「ほら、補習再開するぞ」
立ち尽くしている私に教科書を押しつけて先生は何事もなかったかのように教壇に戻った。
やっぱり大人の男って一筋縄じゃいかない。
いいように扱われて、かなり落ち込んだ。
毎日あれこれ試してはみるものの先生を誘惑するには至っていない。
どうすればいいかなぁ?
考え過ぎて頭痛がしてきた。
だんだんひどくなる頭痛を我慢しつつ補習を受けてたけど内容は通過するばかりで全く頭に入ってこなかった。
……次は榊先生か。
あと一時間の我慢だ。
痛みをこらえてボーっとする頭に無理矢理詰め込む。
「神崎?」
「え…?」
先生が近寄ってきたと思ったらふいに手のひらが額に当てられた。
あー、ひんやりした手が気持ちいい…。
先生の両手が私の頬を包む。
「熱ある」
手のひらが気持ちよくて目を瞑ってぼんやりしていた私は発熱の自覚がなかったので驚いた。
だから頭痛かったんだ…。
先生が教科書やらテキストやらを片付け始めたのを不思議そうに眺めていると少し怒ったような顔を向けられた。
「家まで送ってやる」
「え…。いいよ…そんなの」
「いいから」
痛みと怠さで反応の鈍い私の腕をとって立たせると抱えるようにして教室を連れ出された。
「シート倒して寝てるか?」
助手席に座らせた私に珍しく気遣うような事を言う。
明日は嵐かなぁ……。
「いいよ…このままで…」
冷たい窓が気持ちよくてもたれていたらいつの間にか眠ってしまった。