けんぽなし〜カット〜-6
「キャーッ!!泥棒ーっ!!」
その時、後ろから女の人の叫ぶ声がした。
!!ーえっ……
犯人らしき2人乗りの原付バイクが、こっちに走ってくる…
私達と同じ歳くらいの男子が2人……
顔を隠してはいるが…運転している人の目に見覚えがある…
間違いない…
そう…
砦だ………
私はあまりの出来事に固まるしか術がなく…
ドンっー
ガシャーンっー
バンっー
ドカーンっー
色んな音がして、私は我に返った…
バイクは倒れてかなり遠くで横たわり、運転手はうずくまり、後ろに乗っていた男もバイクの先まで飛ばされていた。
目の前の出来事を理解するのに、私は数秒かかった。
路地裏からゴミバケツを投げつけていたのだ…
空が…
救急車とパトカーの音が、けたたましく鳴り響く…
原付バイクの後ろに乗っていた男は、よろけながらも振り返る事なくその場から去って行った。
残された砦…
立ち上がろうとした。その時、空が馬乗りになる。
「お前はそれだけの事をしたんだよっ!!いい加減気づけっ!!」
砦へそう言い放った空は、私の手を取り、走り出した。
ーえ?ちょっ、ちょっ、ちょっと…
「…っ…も……っ……めっ……」
息も絶え絶え…私が座り込んだのは、人集りからは遠く離れた場所だった。
「…っんで…っ……何で、砦っ…置いてきたの?…」
私は、整わない息の元でどうにか空に訴えた。
「…俺らだってやべーからだよ」
「え……」
「同じなんだよっ大人達の目には俺らも一緒に見えるんだよ!!とばっちりはごめんだっ」