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未完成恋愛シンドローム
【同性愛♂ 官能小説】

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未完成恋愛シンドローム - 希望的観測 --1

「あふ・・」
―眠い。
コタローの家。
テストが明日からなので、直前の最後の勉強会になる。
「会」とか銘打ってても、実際にはオレとコタローしか居なかったりするんだけど。
因みに他の裏切り者3匹は、カイトの「誘惑が一杯ある人んちより、静かに集中出来る図書館の方がええんちゃう?」という提案に付いていった。
まぁ、多分カイトは本が読みたいだけ、ゆーしは和葉に付いてっただけで、本当に集中して勉強したいからって思ってるのは和葉だけだろう。多分。
で、カイトがワガママこきだした時に、最初はコタローだけが家で勉強するって言っていた。
流石に4:1には出来ないと思ったから、オレが一緒に勉強することになったわけだけど・・。
基本的に、こいつは特に自分から誰かと親しくなったりしようとはしない。
なるべく付かず離れずの距離を保つことを心掛けてるようにも見える。
かと言って、別に深刻なレベルのKYとかでもなく、むしろ(表面上は)どんな奴でも仲良く出来てる。
面倒くさくてそうしてんのか、全く違う理由があるのかは知らないけど。
だから、オレが来ても来なくても、そんなに大した違いがあるとは思わないけど、なんとなく後味が悪くなるのが嫌でお節介を灼いただけ。
「まだ?」
今日何度目かの質問。
「もーちょい待ってや」
それに対するコタローの答えも、一体何回繰り返したものだか―
「・・はぁ」
自然と溜め息が出てくる。
「溜め息ばっか吐いとったら、幸せ逃げんで」
シャーペンをクルクルと回しながら呟くコタロー。
「ほっとけ。つか、オレの幸せの心配してるヒマあんねやったら、とっとと問題解け」
因みに、今コタローが難しい顔してにらめっこしているのは、明日ある英語のプリント。
このプリントから、大体1割くらいはテストに出すって先生が言ってた訳だが・・・
「なーイヴ」
「ん?」
「辞書ってな―」
「look up in a dictionaryで辞書を引く」
解いたばっかりっていうのもあり、コタローの質問を先読みして答えを返す。
「・・・・」
なにかを言いたそうなコタローの視線をそのまま見返す。
「はぁ」
結局なにも言わずに軽く溜め息を吐き、またプリントにむかうコタロー。
―前から気付いてたけど、コイツ本気で英語苦手だな。
数学じゃ、7:3くらいでオレに勝つクセに、文系の、特に英語じゃこいつに負けた覚えがない。
―まぁ、単にスペルとか覚えんのが苦手なだけだろうけど。
文法とかはそこまで間違えたりはしてないし・・・。
「あー」
「あ?」
ペンを手放し、うめき声をあげ出すコタローに、訝しげな視線を向ける。
「出来たん?」
「飽きた」
・・・・・。
一瞬脳ミソが麻痺した。
「あのな・・」
そして、強烈な脱力感。
「しゃーないやん、飽きてんから」
あっさり言うコタローに、ため息を吐く。
こいつと勉強してると、10回に7回はこうなる。
別に頭が悪い訳でもない筈なのに、飽きてやる気を失くす。
最早それに関してなにかを言う気はないけど・・・。
「他のしよーやー」
「あんたが英語苦手やから英語やってんねやろ」
まったく自覚のない発言に、呆れながらもそう返す。


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