未完成恋愛シンドローム - 希望的観測 --7
「!」
「んー、いーかんじ」
「なにを・・してんねんお前はっ!!」
12月。
真冬の夜6時過ぎ。
当然辺りは暗い。
が、街灯も当然点いてる中、誰かに見られる可能性だってあるのに、こいつは・・・。
「へーきやって」
オレの心を見透かしたかのように、コタローが言う。
「なにがどう平気やねん!」
声を荒げて反論する。
「明日雪降るらしいし」
「は・・?」
なんの話・・・?
「寒いから暖まってるよーに」
「見えるか!!」
―冬山で遭難してんじゃないねんから・・・。
「じゃーなんに見えるん?」
口を尖らせながら不満気に言うコタロー。
「そりゃもちろん、こ―」
いびと―
言いかけて、慌てて口を噤んだ。
―なに考えてんだ・・・。
「こ?」
ニヤニヤしながら顔を覗き込んでくるコタロー。
―こいつ・・。
「この変態」
「んが」
背中に回された腕をほどいて、そのままさっさと歩いていく。
「待ってや、イヴー」
後ろから駆け寄ってくるコタローの気配を感じつつ、そのまま進んでいく。
しかしまぁ―
なんなんだろう?今のオレらの関係って。
恋人なんかではなく、かと言って友達って訳でもない(友達同士で普通はえっちしないだろうから)。
同じ理由で親友でもない。
なら、なに?
「どしたん?ぼっとして」
並んで歩いていたコタローが、オレの顔を覗き込んでくる。
「いや」
一瞬、言おうか言うまいか悩み、
「オレらの関係って、微妙やなーって」
言うことにした。
「関係?」
「友達と呼ぶにはどうかって気もするし」
自滅しないよう、言葉を選びながら口に出す。
「別に恋人な訳でもないやん」
「そう?」
何故か、疑問符で返してくるコタローを見返す。
「なんか上手い表現でもあんの?」
「オレはイヴの彼氏やと思ってんねんけど?」
・・・・。
「はあ?」
あまりと言えばあまりな言い種に、一瞬脳みそが理解を拒む。
「待て。それやったらオレはあんたの―」
「彼女やろ、もちぐっ」
最後まで言わせず、蹴りが背中に命中した。
「・・・言いたいことは?」
「・・取り敢えず、視線だけで人殺せそーなその瞳ヤメて」
腰をさすりながら言うコタロー。
「こんな視線されたなかったら、最初っから変なこと言うな」
溜め息混じりに言う。
「んじゃ、オレが彼女でいい」
「はあ?」
割とムリがある気がするのは気のせいか?
そんな馬鹿な会話をしつつ、いつの間にか公園に差し掛かっていた。
自転車で5分程度のこの公園は、昔からよく来ていた。