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未完成恋愛シンドローム
【同性愛♂ 官能小説】

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未完成恋愛シンドローム - 希望的観測 --10

「ん・・・・?」
瞳を開ける。
真っ先に飛び込んで来たのは、白。
一度瞼を閉じ、もう一度開く。
視線の先には、規則正しく列んだ白のタイル。
どこかの部屋の天井らしかった。
首が真っ直ぐなのに天井が見えるってことは、今オレは寝ている状態らしい。
起き上がろうとして、手を動かす。
「?」
なにかが持ち上がった。
首を少し動かし、今どうなっているのかを見ると、白い布が見えた。
―・・布団?
身体に掛かっていた布団を捲り、肘をついて上体を起こす。
―ここは・・。
壁で仕切られた個室の中。
開けられた白いカーテンと、窓の向こうに中庭と、更にその先には別館が見える。
―保健室?
頭の中で地図を描いて、場所の検討をつける。
部活で生キズをこしらえたりして、保健室自体にはよく来るものの、ベッドを使うようなことはないから、どこか気付かなかった。
―ん?
ベッドの脇に、黒いものが見えた。
何かと思って顔を出すと、コタローがベッドにもたれ掛かっていた。
「・・・・・?」
下半身は布団の中のまま、上半身だけ外に出し、床に手をついて顔を覗き込む。
「・・すー・・・・すー・・」
瞳を閉じ、眠っているコタロー。
―こいつがオレのこと、ここまで運んで来たんか・・?
微かに残った記憶を手繰り、繋げていく。
―ガチャ。
「!!」
「起き・・たみたいやけど、なんつーカッコしてんねん」
ドアを開けて入ってきた人が、呆れたように言う。
「いや、特に意味はないねんけど―」
言いながら、ベッドの中に戻る。
「つか瞳姉、テスト期間も学校来んねんな」
・・・・。
有沢 瞳。
瞳「姉」と言っても当然実の姉とかではなく、うちの学校の保健の先生。
腰の辺りまで伸ばした髪をポニーテールに纏め、眼鏡を掛けた、割と可愛い感じの雰囲気。
この人も黙っていれば可愛いのに、くわえ煙草で包帯巻いたり、中庭で煙草吸ったりで、割と素行が宜しくないので、よく怒られるらしい。
美術の先生に次いで、2番目に若い(26)のと、怪我をした時によく保健室を使うので、なんだかんだと話す機会も多く、親しみを込めて瞳「姉」と呼んでいる。
この学校の卒業生で、師匠が昔担任を持ったこともあるとか。
身長152/体重??
・・・・。
「藤沢?」
「にゃ?あー」
「にゃって・・・」
一瞬意識が違うところにいってた気が・・。
ま、いっか。
「意外と、テストの最中に具合悪くなる子って多いねんで」
「・・・・」
―あ。
さっき自分で聞いたこと、忘れてた。
「今日に到っては、いっつもは怪我して来る藤沢が、ぶっ倒れて運ばれてくるしな」
―ああ。
「やっぱしオレ、倒れたん?」
「ん?記憶ない?」
今まで笑っていた瞳姉が、少し真剣味を帯びた。
「あ、いや・・そこまで飛んではないけど」
近付いてきた瞳姉の手のひらが額に当てられ、指先で瞼がめくられる。


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