振り向けお前っ!12話〜旅行 最後 夏の夜後編〜-5
「え?話っていつの?」
「昨日の夜みんなが寝静まった後です。」
・・・・・聞かれていた、よりによって一番聞かれたくない人に・・・。
「・・・・そう・・なんだ。」
「ごめんなさい、でもどうしても言い出せなくて、本当なら、すぐ帰ればよかったんですけど・・・。」
「・・・・・・」
「ごめんなさい・・・・。」
愛華の声がだんだん弱っていく。
泣き出しそうな声になっていった。
「・・・じゃあ、俺の気持ちも分かっちゃってたわけだ・・。」
「・・・・・・・ええ。」
その瞬間悠太はその場の椅子に座り込んだ。
「ごめんなさい、わた――」
「もういい。言わなくていい!!」
悠太の声が強く響く。
「―――ッ!」
遂に愛華は泣いてしまった。
「あ、ごめ・・ん。」
悠太もその後ハッとしたように気づいたが、遅かった、悠太の声も弱っていく。
「うっ・・・うっ・・。」
愛華が落ち着くまで待っていた。
「・・・・・・・・」
「もう、知っちゃったんだからしょうがない・・か。」
「・・・・・」
「じゃあもう今言っても平気だな。」
そうして一呼吸間をおくと。
「聞いた話だから分かると思うけど。」
さっきとは違ってできるだけやさしく話す。
「俺は、愛華のことが好きだ、転校してきた日に一目惚れしたんだ。」
愛華の目を見てちゃんと一言一言伝えるように。
「でも、阿佐美が俺のことを好きだという、あいつの本気さに心が揺らぎ始めた。」
だけど・・・・・その後が出す勇気が出てこない。
「だけど・・。」
「だけど、俺はまだ愛華のことが諦められない、だからここではっきりさせる。」
精一杯の勇気を出して。
「愛華の答えを聞かせてほしい!今すぐにじゃなくていい、時間をかけてでいいから、頼む。」
それまで、黙っていた愛華がふいに口を開く。