振り向けお前っ!12話〜旅行 最後 夏の夜後編〜-4
「どうした?」
「別に。」
あきらかさまに別にって言葉はおかしいように見えたが余計な散策はしなかった。
「そうか、じゃあもう、遅いし寝るか。」
「・・・そうね。」
阿佐美は布団の中に潜り込む。
そして、
「電気。」
と一言。
「はいはい。」
悠太もあきれたように返事をして部屋の電気を消す。
しばらくすると。
「すぅ・・・すぅ。」
阿佐美の寝息が聞こえてきた。
「おやすみ、阿佐美。」
返事は帰ってこなかった。
その後悠太はなかなか寝付けずにいた。
時間が深夜くらいになったころ。
コン、コン
となるべく小さくしたのであろう、起きていなければ聞こえないくらいの音だった。
「・・・誰だろう。」
不思議そうに思いながらもドアを開ける。
そこには愛華が立っていた。
「・・・・・あ、あの。」
「ど、どうしたの?」
「ちょっとお話があるんです・・・けどいいですか?」
愛華が改まって聞いてくるので了承した。
そして、静かなリビングへと向かっていく。
「で、話って?」
悠太がいきなり切り出した。
「えっと、その、驚かないで下さいね?」
「う、うん。」
何を言われるのか全く見当がつかない悠太は少し戸惑っていた。
「実は私、昨日悠太君と阿佐美さんの話聞いてたんです。」
「・・・へ?」
いきなりの告白だった、しかし話と言ってもいつの話だか分からない。