振り向けお前っ!12話〜旅行 最後 夏の夜後編〜-3
「あ、悠太、ずいぶん片付け手間取ってたのね。」
「あ、ちょっとな。」
「さて、風呂にでも入るか。」
「私もそうするわ。」
2人で部屋を出ると。他の人も同じことを考えていたのか、着替えを持って部屋から出てくる。
「お、悠太たちも風呂か?」
「おう。」
そう言って気さくな話をしながら、浴場まで行く。
軽く体を流し、頭を洗い。
浴槽へ入る。
「ふぁーーあ、今日は精神的に疲れた。」
「な、今日はほんと心配事ばっかりだったよな。」
「でも、薫さんがそんなに大変そうじゃなくてよかったじゃないですか。」
などと話していた。
阿佐美たちの方は。
薫がいないので2人だけだった。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
2人とも沈黙が続くだけ・・。
とても気まずかった。
そしてどちらともなく同時に口を開く
「あ、あの。」 「愛華ちゃん」
「あ、何?」
「あ、いえ、先どうぞ。」
何とも噛み合わない2人。
「え、あ、うん。じゃあ、先に言わせてもらうわね。」
そして、一息置いて
「愛華ちゃんは、悠太のこと好き?」
と聞いてみた、自分でもかなり勇気がいる質問だった。
「え?」
愛華は質問に驚いていた。
「あ、いや、何でもないわ。愛華ちゃんの方は何?」
「あ、えっと、その。」
愛華はこのとき、阿佐美と悠太のことを見てしまったことを話そうか迷っていた。
しかし、話そうとしたら、さっきの質問が来て、自分のことを言うのをとても辛くなった。
「ああ、いえ、なんでもないです、どうでもいいことですから。」
そして言えずにごまかしてしまう。
そんな時間が続いた。
悠太は一足先に部屋に戻っていた。
そのあとに阿佐美が来て
少し元気がないことに気づく。