ナツの始まり-3
「板倉か??お前授業はどうしたんだ。」
海斗は汗を腕で拭きながら
こっちに歩いてきた。
「霧島さんと係の仕事で、ねっ霧島さん?」
そう言われ私は頷いた。
けど係は無理があるだろう
「係!?なんのだ。」
ほら…
「保健の係で体育館の階段が手すりが壊れてて危ないから点検に」
淡々と答える海斗
たしかに事実だった。
この間男子が遊んでて
手すりを壊した話は
噂で知っていた。
「そうか…」
先生はしばらく黙った。
「…6現目にはでろよ」
「「はい」」
私と海斗はほぼ同時に答えた。
「じゃあな」
そう言うと先生は出て行った。
「ふぅ〜危なかったな」
海斗はそういって座った。
メガネを外して背伸びをする
姿に素直にカッコいいと
思って見ていた。
「なに??」
彼がこっちを向いた。
とっさに顔を伏せた。
「別に!!!」
(カッコいいなんて言えるわけないじゃん)
「この後どうする??」
海斗は制服のシャツを
パタパタさせる。
「別に…」
「授業でる?」
「…………。」
その言葉に思いっきり
嫌な顔をしてしまった。