エリザベス・悲劇の人形たちU-6
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夕方になって屋敷に戻ったグロリアス。
「姉さんッ!?」
キッチンに入ってグロリアスは声を上げた。
マルセルが冷蔵庫の傍でグッタリしていたからだ。
揺すってみたけど、意識はない。
急いで電話で救急飛行車を手配する。
そこへ、キディを抱いたエリザベスがやって来た。
「ショクジハ、マダ?」
「ええッ!?」
こんな時、変な事を言い出すエリザベスにグロリアスは唖然となる。
「ハヤク、シテホシイ。 カワイイカワイイ、コドモタチ、オナカ、スカシテイル」
「あ、あんたネェ!」
見て分からないの!?
マルセルが倒れているって言うのに!
キディがエリザベスママに話しかけた。
「ミャミャー、オニャキャ、チュイチャーァ。
ミャミャー」
「キディ、モウスグ、モウスグ」
優しくキディをあやすエリザベス。
「ミャミャー!」
キディは駄々をこねて、泣き出した。
エリザベスは怒りの眼をグロリアスに向ける。
「ナニヲ、シテイル!?
ハヤク、ハヤクッ!!」
「言わせておけばッ!!」
グロリアスはカッとなって、エリザベスに手をかざした。
エリザベスは1人でに後ろへひっくり返る。
抱かれていたキディは転がってキッチンに体をぶつけた。
「ウィアーンアーンアーンッ!! ウィアンッ!!
ウィアンッ!!」
足をバタバタさせて、キディは泣く泣く!
「ナニヲ、スルッ!?」
エリザベスは立ち上がって、グロリアスを睨み付けた。
「姉さんが倒れているって言うのに! アンタ、なーに呑気に食事食事って言ってんのよッ!?」
「マルセルサマ、ナンデ、タオレテイル?」
「エリザベスッ!?」
何て事だろう!?
呆れた!
エリザベスはマルセルの状況を理解していなかった。
済ました表情で、マルセルを見ているだけ。
自分や子供人形たちの事しか頭にないって姉は言っていたけど…
やはり…。