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エリザベス・悲劇の人形たち
【ファンタジー その他小説】

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エリザベス・悲劇の人形たちU-5

「じゃあ、子供たちの方は?」

「みんな、大喜び」

「姉さんに対して?」

「母親に対してよ」

 え? 母親に対して?

「何で、姉さんに感謝しないの?」

「あのコたちは常に、母親しか見ないからよ」

「だったら姉さん、ちゃんと子供たちに教えてあげなきゃ。アンタたち、誰のお陰で毎日遊んで暮らせると思ってるのって…キチンと言い聞かせるべきよ」

「そんな事したら、エリザベスがカンカンよ」

「当たり前の事を、教えるんじゃなーい。
 何で、エリザベスが怒るのよ? それって変」

「そうは言っても、あのコたちの躾はエリザベスしか許されないの。
 自分たちが何か1つでも教えたりする事は…
 エリザベスの怒りに触れてしまうのよ」

「それじゃあ、余計な言わず黙ってろって言うワケ!?」

「私はずっと、そうして来たわ」

「どうかしてる!」

「人形を飼う以上は、そう言ったリスクがつきまとうのよネェ」

 まるで、諦め気分の姉の説明にグロリアスは納得しない。


 ―――――――――

「そんな事ないわよ」

 こう言ったのは、グロリアスの友人…シェリー・ハイバーである。

 マルセルと同じように等身大の人形を飼っているのだ。

 数は少ないものの、やはり同じように小さな子供人形たちも飼っている。

 マルセルとの違いは…

 人形たちの生活環境を、自分たちのライフスタイルに合わせている事だろう。

 子供人形たちに対しては、キチンとした読み書きを教えているようだ。

 そう言えば、エリザベスの子供たちは…

 歌は知ってても、読み書きは殆ど出来ないと姉は言ってたっけ。

 エリザベス自身が凄く嫌がるとか。

 思いっきり遊ばせるだけで十分だとエリザベスは言っていたらしい。

 グロリアスは思った。

「あの大食い人形、なーに考えてるんだろう?」


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