エリザベス・悲劇の人形たちU-4
「エリザベスを能無し人形だなんて、言わないでちょうだい」
グロリアスはいきなり、テーブルをバーンと叩いた!
「そんな事、どうだってイイのッ!!」
「グロリアス」
「問題はッ! どうして人形の飼育ばかりに、やたらお金を注ぎ込んでいるかよ!」
「仕方ないでしょう?
人形を飼えば、お金かかるんだから」
「あの図体で、バカ食いされたら経費はかかるわよネェ。しかも小さな人形を30体も買って余計にお金を浪費している。
何なの、あのチビたちは?」
「エリザベスの子供の人形たちよ」
呆れ顔のグロリアス。
「子供たちまで飼うなんて」
「いつも1人ぼっちで寂しがっているエリザベスが、子供を欲しいって言うから…」
「だから、揃えてあげたってワケね」
「そうよ」
「ったくゥ、何て事を」
「あら、イケない事?」
「大事な金を半分以上も使ってしまっているじゃない! お陰で!
私が受け取る分は全然足りないわ!」
「お父様の遺産が欲しいのなら、残り全部あげるわよ」
「遺書に書いてあったでしょう!? 遺産は私や姉さんと平等に分けるって!」
「私はもう、いらないから! アナタがもらいなさい!」
「結構ォッ!! 受け取る気にもならないわッ!!」
「…」
凄い剣幕の妹に、マルセルは何も言えない。
「ところで…
姉さんは色々と人形たちに贅沢三昧をさせているけど…
当の母親人形はどう、思っているの?」
「とても、喜んでくれているみたいだわ」
「ふーん。感謝は、しているんだ?」
「ありがとうの言葉、一度も聞いた事ないんだけど」
「ハァ?」
今の言葉に、唖然となるグロリアス。
気を取り直して、質問を続けた。