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今夜、七星で Yuusuke's Time
【OL/お姉さん 官能小説】

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今夜、七星で Yuusuke’s Time <COUNT2>-9

深夜2時、アルバイトに掃除を任せて裏戸から外に出ると、吹き荒ぶ風に身震いした。
まだネオンの煌めきが途絶えない界隈に飛び出し、駅近くのファーストフード店に向かう。
こんな夜中でもファーストフード店は疎らながら客が居て、ガラス貼りの店内を覗くと樹里さんが手招きしていた。

「樹里さん、お待たせ」

「お疲れ様、お腹減った?何か頼もうか?」

ソファーに腰を沈めて早々、樹里さんはメニューを指差す。
俺は"要らないよ"の代わりに身を乗り出して樹里さんの唇に人差し指をふれさせた。
柔らかい唇に俺の冷たい指がふれる。薄くルージュが付いた俺の指先を、見せ付けるように樹里さんの舌が這う。



何だかんだと言ったって、これは相手が樹里さんだからだろうか、そんな小さな愛撫にすら欲情する。
節操なしの自分は「今すぐ押し倒して、樹里さんの中を掻き回したい」そう思わずにはいられない。
椿の“つ”の字も忘れて。

ズクズクと身体の芯が熱くなり、早く放出したい衝動に駆られる。
さっきまで浴びるほどアルコールを飲んでいたのに、カラカラに喉が渇いていた。

「早く、イきたい」

やっとの思いで出たのは低く這うような声。
掠めるように唇を重ね、立ち上がり外へと向かう。
唇を奪っても喉の渇きは癒えない。




四ツ谷のマンションの下でタクシーを降りると、遠くで救急車のサイレンが聞こえた。澄んだ深夜の空気を震わせていた。

「またサイレン。この時間帯だと聞きたくないわね」

オートロックを解除しながら呟く樹里さんの横顔は、少し淋しそうな気がした。

「何?気になる?」

さしてそうでも無いように首を振る樹里さんの後ろを付いて歩く。三階までエレベーターで昇り、右の壁沿い五つ目の部屋が樹里さんの自宅だ。

「ちょっとね。小さい頃を思い出しちゃう。……柄にも無く、ね」

玄関で向かい合う。樹里さんの手が鍵を閉めた後、俺の手を掴んだ。

「……冷たい、ね」

呟く声が泣いているように聞こえる。ぎゅっと手を掴む樹里さんを、体ごと抱きしめた。

「淋しかったら言って?暖めてあげるから」

「ユースケ、誰にでも言うんでしょ」

見上げた樹里さんの顔は暗くてよく見えなかったけど、笑っていた気がする。
俺との関係にもきちんと分別を付ける樹里さん。言葉だけの、体だけの関係だと、きちんと知っている¨大人の女¨だ。

「砕けるほど、抱いて」

そう呟いてコートを脱ぐ。
ここが玄関だから。
俺がセフレだから。
樹里さんが大人だから。
……だから、淋しさを埋めることが可能な、一夜の情事。


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