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魔性の仔
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魔性の仔@-8

「…失礼しますよ」

 部屋の奥、デスクにはパソコンのディスプレイを見つめる中尊寺の姿があった。
 どうやら、プロット作りに没頭するあまり、耳に入らなかったようだ。
 長い間、人との関わりを避け続けることが、彼女の平静を保つのに必要だとすれば、彼女の選んだ──作家─という職業は、何と、皮肉な道だろうか。

 刈谷は初めて、中尊寺聖美という女性に人間味を感じた。

 静かにドアを閉めると、彼女の部屋を後にした。



 部屋に戻った刈谷。ナイトランプの淡い光に照らされた室内。2つあるベッドの片方からは小さな寝息が聞こえていた。

 ──オレも寝るか…。

 昨夜の寝不足のためか、急激な睡魔が迫ってくる。
 刈谷は一方の空いたベッドに潜り込むと、身体をマットレスに預けた。
 とたんに彼は眠りにおちた。深く、緩やかな呼吸音が部屋に鳴りだした。


 眠りに就いてどのくらい経っただろうか。違和感を覚えた刈谷は、目を覚ました。

 ──なんだ?

 真っ暗な室内は変わりなく静寂だが、異様さを感じてしまう。

 刈谷は傍のナイトランプに手を伸ばした。

 …!──

 朧々とした光に浮かび上がったのは、少女の裸身だった。

「ど、どうしたんだ?」

 戸惑いの表情で訊ねる刈谷。
 四つん這いになり、覆いかぶさるように上から顔を覗き込んでいる。

 その目は赤く、妖しく光る。

 ──そのまま、動かないで。

「お、おまえッ!言葉が…喋れるのか」

 あまりの出来事に驚く刈谷。少女は大人びた笑みを湛えて顔を近づける。

 ──黙って…。

 そう云って小さな口唇が刈谷に触れた。その舌が口腔を責めてくる。
 刺激に頭が痺れる。息遣いが荒くなる。少女の身体が熱を帯び、しっとりとした湿り気が刈谷の指先に伝わった。
 甘い香りが匂い立つ。それは、刈谷を──雄─に変えた。

 服を取り去った。まるで、脱ぐのも、もどかしいように。
 少女は、その身体をいとおしげに舐めまわす。すでに剛直と化したペ〇スをも。


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