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魔性の仔
【その他 官能小説】

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魔性の仔@-7

「何故、この子を?」
「この子の見かけだけじゃく、持ってる内面も掘り下げてイメージしたいの。
 そのために、この子を預かって観察したいのよ」

 刈谷には、作品に懸ける中尊寺の熱意がひしひしと伝わった。が、事は物の貸し借りではない。

「お気持ちは分かりました。が、彼女は私が預かってるのですから、それはちょっと…」
「だったら、あなたも此処で暮らせば良いじゃない」
「ええッ!わ、私もですか?」
「そうッ!あなた達2人、作品の概略が出来上がるまで此処で暮らしてよ」

 次第にエキサイトして持論を展開する中尊寺。そんな、彼女の雰囲気に刈谷は呑まれそうになる。

「わ、分かりましたッ!ただ、私も会社員ですから上司の許可がありませんと…」

 そう云って携帯で編集長を呼び出し、その旨を伝えると──先生の原稿が上がるまで帰ってくるなッ!─と、あっさり許可されてしまった。

 ──まったく…。

 許可が出た以上、断るわけにはいかない。刈谷はクルリと踵を返すと中尊寺に頭を下げる。

「先生…上司の許可が出ましたので、今日からお世話になります…」

 対して中尊寺は、今まで見せたことも無いほどの笑顔を弾ませた。

「よかったッ!奥に部屋が空いてるからそこを使って」

 暗から明。エキセントリックな性格に刈谷は圧倒されるばかりだ。
 こうして刈谷と少女は、中尊寺のコッテージでしばらく暮らすこととなった。




 その夜。夕食は中尊寺の手料理がふるまわれた。
 彼女の料理などむろん、初めて食したが、菜の花のパスタやそら豆のポタージュなど、大変美味だった。
 それらの食材は、山の麓にある食料品店から配達してもらうそうだ。
 何より刈谷は、彼女が終始笑顔を混じえ、これほどプライベートを晒け出して喋るとは思ってもみなかった。

 ──いつもこうしてりゃ、女を感じさせるのに…。

 刈谷の頭に、つい、余計な思いが浮かんだ。




 夜も更けて、就寝の時刻を迎えると、中尊寺は2階の自室にこもって執筆にかかりだす。
 刈谷と少女は、与えられた奥の部屋で寝る準備をした。

「これで良し…と」

 少女は、ワンピース・パジャマに着替え終えた。
 刈谷はここで暮らすことが決まって、一旦、自宅に戻ると必要な服や道具をコッテージに運び込んでいた。

「さあ、君はここで寝ててくれ。オレは先生の様子を見て来るから…」

 少女をベッドに寝かし付けると、明かりを消して部屋を出ていった。

「さすがに夜になると冷えるな…」

 刈谷はエントランスにある階段を登って、中尊寺の居る部屋のドアをノックした。
 しかし、応答が無い。もう1度ドアを叩くがやはり返事はない。

「先生。刈谷ですが」

 ドアに手を掛けると、施錠されていない。そっと開いて中を伺った。


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