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コンビニ的恋愛
【青春 恋愛小説】

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コンビニ的恋愛-1

梅雨の合間の晴天。久しぶりの空の青にぼーっとする。
陸上部を引退して一週間。放課後はいつもこんな感じ。
「今頃みんな走らされてんだろーね」
同じく引退したユミちゃんが、同じくぼーっとしながら言う。
「だねー。走んなくていいなんて信じらんない」
「うん。今考えると必死に走ってたのってウケるんだけど」
「だよね。マジウケるかも」
軽く笑ってまた空を見る。
実はこの手の会話3回目。変だけど今は何度でも話してたい感じ。
「あ、知ってる?宮田と詩織ちゃん、別れたってよ」
「うそっ!なんでっ!?」
穏やかな雰囲気を一転させて、噂話で盛り上がる。
これもいつも通り。ぼーっとするのもいいけどやっぱり騒ぎたい。
「詩織ちゃん、他に彼氏できたんだって」
「うわーっ、宮田かわいそー」
とか言いつつ笑っちゃってる私。
宮田は…簡単に言うとクラスのパシリ。
確かにイイ奴ではあるんだけど、そこ止まりの雰囲気の人。
そんな宮田が去年の文化祭で超モテる詩織ちゃんに告った。
無謀な挑戦かと誰もが思ったのが、奇跡的に叶って半年過ぎた今。
「宮田には悪いけどやっぱりか。まぁもったほうじゃん?」
文化祭がきっかけでつきあったのは他に二組いた。
どっちも祭の熱が覚めた頃、一ヶ月ちょっとであっけなく終わった。
だから、無謀とか言われてた割に、かなり続いた方。
「頑張ったよ…宮田は」
ユミちゃんがしみじみ言ったので、
「…うん。頑張った」
私もしみじみと言った。

それからどちらともなく自然に帰る用意をして、駅で別れた。
そのまま家に帰りたくなくて、『スターラン』に向かう。
『スターラン』はうさんくさいオヤジがやってる小さい店。
コンビニのつもりらしいけど、九時閉店。…普通じゃん!
とは思うけど、小さい町だから、それでもかなり遅い方。
さらに行き場のない中高生がわらわらいる。
雰囲気だけはコンビニ的ってことでダキョウする。
「いらっしゃいませー」
バイトのほとんど聞こえない歓迎を受けて店に入る。
まっすぐお菓子の新商品チェック。明日の放課後用だから、かなり真剣。
「よっ」
すぐそばで聞こえた声で我に返る。
同じ陸部だった麻木だ。
「よっ」
少しななめ上、ちらっとだけ見て答える。
今、絶対顔赤いからこれ以上無理で、お菓子選んでるフリをした。
バレないか心配でますますドキドキ。
「動かないで食うと太るぞ」
「うわっ、超うるさいんですけど」
麻木のグーが私の頭の後ろにコツンとぶつかる。
遠ざかる足音。次に見える後ろ姿。
本日の会話終了。思わず出たため息−。
「あーとございましたぁ」
お決まりのセリフに見送られ、店を出る。
離れたとこで振り向いて、立ち読みしてる麻木をちょっとだけ見た。
スターランで会ったの三回目。
うるさいとか言っちゃった。全然違うのに。
あぁああぁ〜!絶っっ対、変な奴だって思われてる!超意識しすぎ!
どーせ走ってばっかりだったから男の免疫ないんだよっ。
陸部も基本的に男女別だったし。
麻木と話したのなんて必要最低限だったはず。
なのになんで話しかけたりするの?
あ、このことユミちゃんにまだ言ってないや。
『まだ』?いつか言う?いつ?っていうかなんて言う?
好き…とは違うけど。でも、気になる。かなり。
……。
……。
っていうかたった三回偶然会っただけじゃん!私、バカじゃん!
マジでバカみたいなのに…きっと明日もスターランに行っちゃうんだ。


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