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コンビニ的恋愛
【青春 恋愛小説】

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コンビニ的恋愛-3

−ユミちゃんと別れるまで、無理矢理テンションあげた。
それはもう必死で。
詩織ちゃんが麻木のこと好きなのはショックだったけど、それよりも。

私はなぁーんにも麻木のこと知らない。

それがショックだった。気になるとか言ってた割りに、何も知らなかった。
たったほんのちょっと会って話しただけで、舞い上がって。
私より先に麻木の良さをわかってた人にまで嫉妬して。
誰にもとられたくない−そんなこと思った。
好きじゃない。そう言いながらスターランに行ったりして。
……。
考えながら歩いてたら、いつのまにかスターランの前。
しかも中には詩織ちゃんと麻木。笑ってる。楽しそう。
もしかして告ったのかな。OKしちゃった?
…もぉ、やだ。考えるの疲れた。
これ以上見たくない。帰ろう。もう、くるのやめよう。
あーほんとにバカじゃん、私…。
後ろで聞こえた自動ドアが開く音。
「よっ」
九回目の偶然あらわる。できれば避けたかったのに…。
「おい!何、泣いてんだよ!?」
「うるさいのよ!早く詩織ちゃんとこ行きなさいよ!」
逆ギレする私。
「ああ、なんか急に話しあるとか言われて困ってたんだよな」
あれ…?
「だって、詩織ちゃんかわいいじゃん。うれしいでしょ?」
「まぁ、確かにかわいいけど、でもなぁ」
あれあれ?
「…だって『かわいい=好き』じゃないの?」
「は?逆だよ逆。『好き=かわいい』」
あ、笑った。片方にえくぼできるんだ。照れてるし。
私、麻木のこと好きみたい。すごく。だってかわいいもん。
これって好きってことなんでしょ――?
麻木のことまだ何も知らないけど。一コ、やっとわかったよ。
「今日で会うの十回目だな」
「…適当なこと言わないでよ」
「マジだよ、数えてたし」
「十回目じゃなくて九回目だっつのー」
「そっかー、あはは……えっ!?」
「え?……あっ!!」
みるみる赤くなる麻木の顔。たぶん私はもっと赤い。
うわっ!恥ずかしーっ!何言ってんの私!
「じゃ、じゃあね!」
慌てて走り出した私の後ろ、また聞こえてくる声。

「明日待ってるなー!」

…どうしよう!超うれしい!
うれしすぎて足止まんない。恥ずかしくて振り向けない。

でも、明日十回目の偶然が…─ううん、初めての約束が叶ったら。
かわいい私になるから。頑張っちゃうから。
また、片方のほっペのえくぼ見せてよね。ね?


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