冷たい指・女教師小泉怜香 @-2
私の沈黙と無抵抗を「合意」と受け取ったのだろう。
痴漢男は、それから駅に着くまでの数十分間、私の下半身を徹底的にまさぐり続けた。
そしておぞましいことに、こんな公共の場で、衆人に囲まれながら声を殺して陰部をなぶられ続けるという異常な行為に、私の肉体は自分でも信じられないほどの反応を示してしまったのだ。
荒々しい手つきでパンティストッキングを破き、下着の中まで入りこんでくる無骨な指先。
その乱暴な指づかいに私の身体は徐々に甘い蜜を吐き出し始める。
聖職者の立場でありながら、こうして電車の中で痴漢に身を委ねている自分。
自分が「イケナイコト」をされているという事実が、私の中に倒錯した快感を呼び起こしていた。
最初はきつく閉じていたはずの太腿は無意識のうちにだらしなく拡がり、私はいつしか痴漢のほうへお尻を突き出すような卑猥な姿勢になってしまっていた。
『……あぁっ…ダメ…私どうしたの……』
膣壁と陰核に絶え間無く与えられる暴力的な刺激に、私の理性は少しずつ崩壊していく。
長時間にわたって陰部だけを執拗になぶられ続けているうちに、決してうまいわけではないその指使いに私の身体は屈服し、信じがたいことに軽いアクメに達しようとしていた。
「……イきなよ……」
耳元に吐きかけられるヤニ臭い息。その下品な口臭が一気に私の被虐心を煽った。
「……ん…あっ…イヤ…あっ…ああっ……はああっ……!」
身体が小刻みに痙攣し、ビリビリと全身に電流が流れるような快感が走る。
「……ダメ……イ…イっちゃぅっ……!」
私は夢中で目の前の手摺りにしがみついた――――。
朦朧とする意識の中、下車するべき駅に着いた時、男が私の耳元で囁いた。
「すごくエッチだったよ。また明日ね―――」
気がつけばその時、愛液が下着を完全に染み通ってしまうくらいに私は濡れていた。
スカートの中は男の精液が飛び散ってぬるぬるになっていた。
それから私の受難の日々が始まったのだ。
―――いや、受難という言葉が適切かどうか、今の私にとってはもはやわからない。
毎日繰り返されるその行為を、私は心のどこかで待ち望んでいる。
一方では『嫌だ』とハッキリ思っているにもかかわらず、以前は通勤の時には着なかったようなタイトなミニスカートやTバックなどのセクシーな下着を身につけてしまう自分がいる。
私は飢えているのだろうか――。
教師になってからというもの、周りの目が気になってまともに恋愛をしていない。
異性と出会えるような場に出入りすることさえもすっかり億劫になってしまった。
だが26歳の恋愛盛りの女の肉体が、純粋に男性の肌を恋しいと感じているのは間違いない事実だった。