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ネコ系女
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ネコ系女 #2-1

今の時刻は七時四十五分。今日の合コンの時間は七時半。
仲間たちには絶対遅れてくるなと言われたけれど、それは無理な話だ。
私は時間にルーズな方ではない。けど合コンにおいては別。遅れていくのがベストだ。
ついさき程も電話が来て、もうすぐ着くと伝えたところだった。
これで私が一番目立つのは確実。謝りながら入っていけば完璧。


【ネコ系女は計算高い】


今日の会場は、人通りの多いアーケードにあるビルの地下。とてもおしゃれなダイニングバーだ。
私も何度か(合コンで)来たことがあるけど、確かに少し薄暗くて店内は綺麗で居心地の良いところだった。
そのビルの前にたって真新しい洋服をただし、身なりを整えた。
そこに買ったばかりのお気に入りのバッグを合わせる。これを買うために、夜、くれいむに内緒でキャバクラでバイトをしていた。
半年ほど続けただろうか。気付くと私はナンバーワンキャバ嬢になっていた。
私がナンバーワンになるのは分からなくはないけれど、まさかこんなに簡単にナンバーワンになれるなんて思わなかった。
キラキラと輝かしく華やかな世界は私に合っていたが、何となく飽きてきたので、バッグも買ったことだしと先月辞めた。
なので、久しぶりの合コンにはなかなか気合いを入れてしまう。
私はにっこりと笑顔の練習をしてから、颯爽と胸を張って階段を降りていった。




「遅れてごめーん」

手を合わせながら私は席へと着いた。
遅いなどと罵声を浴びる。それを男達が「まぁいいじゃん」と宥めていた。

「ありがと。本当にごめんね」

とりあえず私は向かい側にいた男ににっこり笑いかける。
けど、なぜか…違和感。
あれ?誰だっけ…。たぶん私、この人…。
彼もどうやら私を気に掛けているらしく、遠慮無く私をじっと見ていた。

「それじゃあ乾杯といきますか。ねぇ、最初はビールでいいでしょ」

友達が私に話しかけたので、人間観察は一時中断せざるをえなかった。
ま、いっか。
私はそのまま、彼の存在感が無さ過ぎてその違和感すら一瞬で忘れた。
差し出されたビールのグラスを受けとる。

「えーと、じゃあカンパーイ!」

今日の合コンを企画してくれた子が音頭をとった。
私も乾杯と言いながら、当たり障りの無いよう全員とグラスを合わせる。
カチンと乾いた良い音がした。
クピッと一口飲んでグラスを置く。微炭酸と苦味と独特の臭みがシュワアと広がる。
正直、ビールは嫌いだ。
なぜわざわざ苦い物を飲まなければならないのか。
しばらくビールを口にせず、自己紹介やら血液型の話やらをしていると

「あれ?ビール飲まないの?」

斜め右にいる顎に髭のある男が話掛けてきた。ちなみに私は一番端で左隣には誰もいない。


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