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「深夜の病室」
【制服 官能小説】

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「血染めの雪」-1

表ではいつもより華やいだ気配がしている。
朝も早くから、自分の部屋に訪れた人物を見て舞は目を丸くした。

「わぁっ!九木さんが黒じゃない着物を着てる。珍しいですね」

この楼の番頭である九木は普段は、黒い袈裟状の服を身に纏っている。
楼主が三つ揃いのスーツで洋装なのに対し、九木はいつも和服だ。
しかも、纏う色は黒ばかりである。
その九木が珍しく、黒以外の色、しかも白と紅と言うおめでたい色を合わせていた。
しかも、普段の着物とは違い、平安貴族の着るような直衣姿である。

「旧正月だからですよ。それに、雪も積もっていますしね」

この街では、正月は2回来る。
ひとつは西暦に合わせた通常の正月で、これは街の住民のみで祝われる。正月は客も「家族サービス」をしなくてはいけないため、街そのものを閉鎖し休暇とするのだ。
それとは別に、日本古来からの暦、旧暦の1月1日に、旧正月として客も交えて新年を祝う。年内で最も稼げる時期の一つであり、春の「花祭」、夏の「夏花火」、秋の「南瓜祭」、冬の「白き恋日」の季節の記念日と同じくらい街の空気も華やかになるのだ。


「えっと、お正月なのは知ってますけど、雪は?おめでたい色だから紅白を着てるんじゃないんですか?」

舞は疑問を口にする。

「重ねの色目ですよ」

しかし、続く九木の言葉は増々舞を混乱に陥れた。

「重ねの色目?」

「そうです。日本には古来より着物の色を重ねて楽しむ習慣がありました。合わせた色それぞれに雅な名前を付けていて、このように白の表地に紅い裏地を合わせたものを“雪の下”と言うのです」

「あぁ!それで!」

舞にもようやく得心がいった。

「舞さんも、少しずつでいいので、街の風習を覚えていって下さい。取りあえず、今日の着替えは私が手伝いますので」

「えっ?私も何か着るんですか?」

頓狂な舞の声に九木は少しムッと来たようだ。

「ハレの日ですから当然です。さ、早く中に入れて下さい」

部屋に入ると九木は早速、舞の襦袢に手をかけた。
自分で脱ぐよりも、客に脱がされるよりも早く舞は生まれたままの姿にされる。

「ふふっ。若々しい肌ですね」

九木は舞の腕を捕らえると指先でゆっくりとなぞっていく。

「あ…のっ」

その指の動きは、舞がゾクリとするほど妖艶で、彼女の動きを封じ込める。

「楼主様も此処を愛でられましたか?」

指先は微かに舞の胸の先端を掠めた。
舞は、ピクンと躯を揺らす。


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