振り向けお前っ!11話〜旅行 最後 夏の夜前篇〜-9
「あ・・・悪い。」
やはり全員気にしていたんだろう、心配なのは俺もそうだが・・。
「ほら、大丈夫ですって・・。」
輝が苦し紛れにフォローしてくれるが、重い空気は変わらない。
そんな時間がしばらく過ぎたところ。
「ただいまー。」
と幸宏の声が聞こえた。
「帰ってきた!」
そのとたん全員が幸宏のいる方へ走っていく。
「お、おいおい皆・・・。」
少し呆気にとられながら悠太も後を追う。
薫がひどい状態じゃないことを祈って。
多分皆も同じ状態だろう。
あんなに心配していたんだ、やはり、状況が状況なだけああなるのだろう。
俺だけでも、いや幸兄もそうか、冷静でいないと・・・・
少し遅れて全員のところに追いつき。
「皆慌てるなよ。」
そうは言うものの自分も、心の中では焦っていたと思う。
「で、薫はどうだったの?」
そう聞くと幸宏がフッと笑って。
「悠太も心配性だなぁ。」
なんて言われてしまった。
「人の心配して何が悪いんだよ。」
「べっつにー、誰も悪いなんて言ってないよ。」
すこしムカっとして反論するものの、軽くあしらわれてしまう。
「ああ、それで、状況だけど、疲れだそうです。」
幸宏がそう言った途端全員が安堵の息を吐く
なんだーよかったぁ、大事に至らなくてよかったよなとか声も聞こえてくる。
正直悠太も安心した。
「だから、今日ゆっくり休めば大丈夫じゃないかな。」
そう言い終えると、全員の顔がみるみる明るくなっていく。
よかった、本当によかった。
そう思っていたところに阿佐美の声が届く。
「おーい悠太、宿題の続きやるわよー。」
「へいへい。」
そう返事して、さっきまで宿題をしていた場所まで戻る。
さっきまで集中できなかったのが嘘みたいに全員が集中し、
やることがスムーズに進んでいく。
その結果
時間は悠々と過ぎて行き夕方に近づいて行った・・・・。
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