振り向けお前っ!11話〜旅行 最後 夏の夜前篇〜-7
そこに、
ガチャンとドアを開く音がしたので視線をそちらに向けると。
「あ、皆、おはよう。」
阿佐美が部屋から出てくる。
そして、愛華と悠太をチラッと見る。
その視線に悠太が気づいたのか、悠太も目を視線をこちらに向けてきた。
「おう、今薫が熱出して、幸兄が病院へ連れて行った。」
「薫ちゃんが?大丈夫なの?」
「まぁ、病院から帰るまではどうなのか分からないな。」
「・・・・・」
「まぁ、最悪、やばかったら幸兄いるし、送ってもらうって手もあるが。」
そこまで言い終えるとまた沈黙が続く。
数分して、進一が口を開く。
「俺部屋に戻ってるわ、なんか、こういうムード苦手だから、行こうぜ春本。」
「ぼ、僕もですか!?」
「そうだ、何で輝まで・・。」
「ん?いや、一人で部屋戻るのもなんだから、じゃそういうことで。」
「ちょ、ちょっと待ってくださいって・・。」
そう言いながら2人は部屋に向かっていく。
片方は半ば強制的に引っ張られながら。
くそっ!進一め、こういうときだけ面倒な場面にしやがる・・。
それもそうだ、なぜなら今、阿佐美、悠太、愛華の3人だけ。
一番顔を合わせたらまずい面子なのだ。
それに、さっきから阿佐美が愛華のことをさりげなくちらちら見ている。
気にするなと言ったもののやはり気になってしまうようだ。
その視線に、ようやく愛華も気づいたのか。
「あ、あの・・阿佐美さん?私の顔に何か?」
「へ!?あ、いや、何でもないわ、なんでも・・。」
一瞬阿佐美の顔が暗くなったが、すぐに明るくなって。
「ところでこの後何するか決めてたの?」
「いいや、決めてないが?」
「だったら、宿題でもやらない?何もしないよりはマシでしょ。」
「それは、皆がいるから、どうせなら教えあおうというやつですか、阿佐美さん?」
「そうよ、あたりまえじゃない悠太。」
つまり、ちょっと楽したいと。そういうことか・・。