振り向けお前っ!11話〜旅行 最後 夏の夜前篇〜-4
「どうした?こんな時間になっても出てこないなんて珍しいな。」
「・・・・・・別に。」
「別にってことはないだろう。・・・愛華に顔合わせずらいか?」
図星を突かれた。
「っ――別にそんなんじゃっ!」
「嘘だ。これでもお前との付き合いも長いんだ、嘘くらいわかる。」
完全に見透かされている。
「・・・まぁ、気持ちの整理がついたら出て来いよ。」
「・・・・」
「みんな心配してるぞ?」
「・・・うん。」
返事を聞いた後、廊下を走る音が聞こえる・・。
「おーーい悠太!!大変だ。」
そして進一の声が届いた。
「何かあったのかな?じゃあ先出るから後で。」
そう言うと部屋を出る。
「・・・意地悪。」
無理やりにでも引っ張ってくれればいいのに・・。
そんな気も知らないで悠太は。
「どうした?」
「いや薫ちゃんが熱出してる。」
薫ちゃん?あ、いやこの際気にしないでいいとして・・。
「熱か・・・。」
「そうだ熱だ。」
「で、薫は今どうしてる?」
「寝てる。」
それでそんな大声出したら起きちゃうだろう・・・。
「今は寝かしてやれ。」
そう言うと進一を引っ張ってリビングまで行く
ここで待ってるように言っておいて
手頃な袋と氷を少し入れて進一に渡す
「おでこに乗せといてやれ。」
受け取った進一はすぐさま輝たちのいる部屋へと向かう。
「ふぅ、朝っぱらから平和な時間は消えましたとさ。」
とつぶやく。
それが愛華に聞こえていたのだろう。
「ふふっ」
笑われてしまった。
「笑わないでくれよ・・・。」
「いいじゃないですか、楽しそうで、ところで阿佐美さんはどうでした?」
「別に何ともなかったよ。」
「それならいいんですけど。」
そう言うと
「はい。」
と言って朝食の用意ができる。