振り向けお前っ!11話〜旅行 最後 夏の夜前篇〜-2
「・・・・・・」
「・・・・」
お互いがお互いに口を開きにくかった。
片方は昨日のことで、愛華への想いをどっちの方向でもいいからすっきりさせることに。
片方はそんな現場を見てしまい、悠太の想いを知ってしまったことに。
と、そこに。
「おー悠太、愛華さんおはよう。」
静寂を破って進一が部屋から出てくる。
「おう。」
「おはようございます。」
「まだ2人だけか?」
「そうだよ。」
そう言うと進一は悠太の近くに寄ってくる。
「なぁ、お前昨日どこ行ってたんだよ。」
そしてそう聞いてくる。
「ぶっ。な、お前気づいてっ――」
「ああ、ちょうどトイレ行こうとしたらお前がどっか行こうとしてた。」
「散歩、ただ寝れなくてな。」
「ああ、なんとなくわかった、一緒にいる奴が川谷だからなぁ・・・。」
変な同情をされた。
しかし、話を合わせるために頷いておいた。
それ以降話は無く3人無言のまま時間が過ぎていく。
が、全員が大体起きてくる頃になっても3人以外に部屋から出てくるものはなく。
「おかしいな、何で皆出てこないんだ?」
「ああ、春本は、起きてたけどな。」
「阿佐美さんも、ここまで起きてこないのはおかしいんじゃないでしょうか?」
3人で何かあったのかと心配そうになる
輝たちがいる部屋の中。
「薫さん?」
輝がなぜ薫の名前を呼んだのか。
薫が苦しそうな息使いをしていた。
「ごめん、ちょっとだけ失礼するよ。」
そして、明は薫の額に手を当てる。
・・・・熱かった。
「っ――熱い」
輝たちが出てこない理由は薫の異変に気づいたから。