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春に生まれた彼女へ
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本日、晴れのち、晴れ!-1

…早く朔さん帰ってこないかなぁ、なんて思いながら、空を見上げる。

今日は、いつもより早く講義も終わって、暇をもてあましていた。
いつもなら、朔さんが私を待ってくれている。

―早く会いたいな。
いつも、私を待っている時、朔さんも、こんな気持ちなのかな。
そうだったら、いいな。

見上げた空は、白い雲一つ無い、澄み切ったスカイブルー。
明日も、きっと晴れだったらいいのに。
そう思いながら、椅子にもたれかかった。



「―あれ?夕ちゃん、朔待ち?」

「あ、弥勒さん、お疲れ様です」

「お疲れ様―」


にへらっと、弥勒さんは、笑って言った。
しかし、何故か、そのまま、ニコニコしている。
不思議に思って、じっと弥勒さんを見ていると。


「ふふふー、朔とは仲良しこよし?」

「仲良しこよし? ふふっ そうですね、仲良しですよ?」


笑いながら、そう言う。


「それはそれは。 隣に座ってもよいですかな?」

「ふふっ どうぞどうぞ」


スッと、畏まってお辞儀する弥勒さんは、執事さんみたいで。
ちょっとおかしくて、クスッと笑いながらも、そう返事をした。

弥勒さんは、同じサークルの先輩で、朔さんの高校からの友人だ。

朔さんと同じくらいスラッとしていて、背は高い方。
少し短めな髪に、切れ長の瞳。
にへらっと笑う、その笑顔は、とても人懐っこい。

朔さんと弥勒さんは、親友らしい。
朔さんは、特に何も言ったりしないけれど、弥勒さんの事、大事に思っているみたいだ。


「弥勒さんって、高校からの、朔さんの親友なんですよね?」

「おおっ!夕ちゃん、さすがだね〜!朔が、そんな風に、俺の事言ってた?」

「あはは」

「ん〜、朔は、恥ずかしがり屋さんだからね〜」

「ふふっ でも、本当になんだかんだいって、仲いいですよね」

「そう?やっぱりそう思っちゃう?」


コロコロと、表情が変わるな、そう思いながら、同意する。
そうすると。
なんてったって、俺ってば、朔ちゃん大好きだもーん!
そう言いながら、弥勒さんは、得意そうに、笑った。


「でもさ、俺、朔のこと、最初は苦手だったんだよね」

「…え?」


今思えば、朔にあこがれていたんだと思うけれど、そう言いながら、弥勒さんは、何か懐かしむように、ポツリポツリと喋りだした。


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