本日、晴れのち、晴れ!-3
―少し、休憩しよう。
どこか一人になれる場所がいい。
求めて、辿り着いたのは、屋上だった。
重い息を吐きながら、ゴロンと、横になる。
今日は、よく晴れていて、日差しが暖かくて、心地よい。
雲一つない、真っ青な空を見上げて、気分は爽快!
…のはずなのに、俺の胸は、チクンと痛んだ。
…気にしてはいけない。
母さんは、昔から、カッとなりやすい質だ。
本当にそう思って言った訳じゃないはず。
気にするな、いつも通りに。
何もなかったかのように。
そうしないと、失ってしまいそう。
そう、自分に言い聞かせながら、俺は微睡みの中に落ちていった。
ふと、目が覚めると、そこにいるはずのない望月が、俺をじーっと見つめている。
「あらら?望月〜!どうしちゃったのさ、お昼寝しにきたのか〜?」
飛び起きて、そうヘラヘラしながら、言う俺。
「…いや、僕もここで寝てた。起きたら、天野がいた」
「あらあら!先客がいたんだな〜、お邪魔してま〜す!」
「…天野って、よくそうやって笑うよな」
ふと、望月はそう言った。
確かに、そこで眠っていたのだろう、日の光に当たって、キラキラと透けている髪は、少しクルッと寝癖がついている。
「ん?ああ、癖でさ。なーんか気に障っちゃったりしてたら、ごめんね〜」
ああ、また、俺やっちゃった?
こういう風に笑う以外に、できない俺は、どうしようもないな。
ヘラヘラ笑いながら、そう謝ると。
「…いや、そうじゃないんだ。 僕の父さんも、そうやって笑う」
「親父さん?」
「僕は、表情の変化が乏しいというか、だから、代わりに、父さんはよく笑う。
でも、そうやって笑うのは、誰かを悲しくさせないようにっていう、父さんの優しさなんだって思う」
「…優しさ?」
だって、僕は、父さんが笑うと、寂しい気持ちとかどこかへ行っちゃって、いつのまにか笑ってる。
そう言う望月は、何かを思い出したように、笑った。
「でもさ、疲れた時は、無理に笑わなくてもいいんだ」
「…」
「だって、その時は、僕が笑うから」
そう言って、望月は、また、目を細めて、笑った。
どこか、その顔は優しくて、穏やかで。
いつもぼーっとしている望月とは、また、違う。
俺はつられて、笑った。