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春に生まれた彼女へ
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本日、晴れのち、晴れ!-4

「なぁ」

「ん?」

「俺ってば、望月の親父さんに似ちゃってるの?」

「うん、なんか似てる」

「じゃあ、俺は、望月の親父みたいな友、って事で、略して、親友ね!」

「…なんか意味違うくないか?どう略してそうなるの?」


望月は可笑しそうに、笑っていた。
それを見ていたら、俺もなんだか嬉しくて。
こうやって、俺が笑ってる事で、誰かが嬉しくなったりするのかな。
そのままの俺でいいのかな。



…朔がそう言ってくれて、俺は少し楽になったんだ。





「朔は、それからも悲しいときや、どうしようもなくて笑えないとき、そっと傍にいてくれた、ありのままの俺を知ってる、初めての友達」

「いつだって、俺は朔から、貰う方で、だから、俺は、朔の本当の親友になりたいんだ」


―いつか、朔が俺にしてくれたように、返せたら。
そう言う俺を、夕ちゃんは、すごく穏やかな顔で、見つめている。
ふいに、夕ちゃんは、口を開いた。


「…弥勒さん」

「―いつからが、親友と呼ぶのでしょう?
お互いが、そう思うのであれば、そうなのかもしれません。
でも、もう朔さんにとって、弥勒さんは、親友ですよ?
だって、お互いに、なにかしてあげたいって思ってます」

でも、見返りなんて、きっと、求めてない。
何気ない日常でも、弥勒さんから、色々なものを、幸せを貰っているって、きっと朔さんは知っています。

そう、夕ちゃんは、顔をくしゃっとしながら、笑って言った。




「…っ」


一瞬、涙が出そうになったけれど、ぐっと堪えた。
気付かれないように、さっと、立ち上がる。
キョトン、としている夕ちゃんに、俺は一言。

「―そういえばさ、夕ちゃんの携帯って、クラゲが待受なんでしょ?」

「…へ?なんで知って…?」

「くふふっ!朔ちゃんに言っちゃったぁ〜♪」

「…っ!! 弥勒さーんっっっ!!!」


顔を真っ赤にして、飛び跳ねる夕ちゃんを置き去りにして、俺は走り去る。

帰り道の足取りは、軽く、何故か自然とスキップ。


―そうかな。
こんな俺でも、朔に幸せをあげられているんだろうか。
そうだったら、嬉しい。

明日も晴れるかな、にやけそうになるのを堪えながら、赤い夕日の下、家路についた。


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