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僕らの関係 プロローグ きっかけ
【学園物 官能小説】

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僕らの関係 最終話 いつも隣に……。-4

「そう……それじゃあ」

 ――帰れ!

「里奈もそのお友達に会うー」

 ――あらら……。

 おそらくそうなるのではないかと予想していた彼女だが、玄関先でうなだれようにも里奈の能天気を装う声にそれも出来なかった。

「……何してんだ? 由香」

 すると今度はボーイッシュなハスキーボイス。
 見なくてもわかる。
 恵だ。



 どうやら恵は一緒に遊ぶ約束だった美雪とかいう先輩に振られたらしい。なんでも彼氏に会いに行くとかで、恵も彼女を応援したいと、見送ったらしい。
 他にも一つ言いにくそうなことがあったみたいだが、それは敢えて聞かない。どうせ部活のことだろうし。
 遅れてやってきた幸太は手製の塩ブタを持ってきて、何故かいる恵と里奈に「これ、味見してよ、前よりおいしく出来たから」と言う。
 彼は嫌な顔をしてくれるのではないか。
 そんな期待もとうに砕かれた。
 彼女は彼の振舞う塩ブタの欠片を噛み締めながら、その絶妙な塩加減に、自分の塩加減の甘さを思い知らされた……。



「メリークリスマース!」

 恵の威勢の良い声とともにクラッカーが放たれる。
 色とりどりの紙ふぶきとテープが飛び交い、まるで雪のよう。
 続くいただきまーすの掛け声に、恵も里奈も幸太もローストビーフをつつきだす。

「うん、やっぱ旨いな……さすが……由香」

「そだね、こういう……火加減とかさ……うん、繊細な……りょうり……僕、できないなあ」

「ユカリンの……サラダ、すごく……おいひい!」

「ちょっと、もう……みんな食べるか喋るかどっちかになさいよ……うふふ」

 なんだかんだいっても毎年恒例のこの面子によるクリスマス会は楽しかった。
 本当は幸太と二人でグラスを交わし、食べるのも途中でベッドに誘うつもりだったのに、二人のお邪魔のおかげで楽しい思い出をもう一年更新することができたのだから。

 ――私もバカね。けど、やっぱり、友達っていいな……。

 にっこり微笑む里奈の頬に付いたソースを布巾で拭う。恵が「あたしも」とよくわからないことを言うも、「はいはい」と拭いて上げる。まさか幸太もと思いきや、彼にはギリギリ届かない。

「そうだ、あたしさ、差し入れもって来たぞ」

 恵が鞄から取り出すのは赤いビン。シャンパンと書いてあるが、他にも二十だの七パーセントだの書いてある。

「恵、それって……」

「へへへ、無礼講無礼講……な?」

「ケイチン、それ意味違うよ」

「いいじゃん、固いのはコウのチンコだけにしようぜ!」

「んもう、恵ってば」

「ケイチンのえっちー」

 いつもどおりの卑猥なジョークはクリスマスにはそぐわない。それでも無礼講と繰り返す彼女に、由香はコップを差し出す。どうせなら楽しく過ごしたい。そう決めたから。


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