僕らの関係 最終話 いつも隣に……。-18
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「へくち」
可愛らしいくしゃみはどこからだろう? まだ少し息の荒い幸太も由香も、愛をはぐくむ運動のせいか、まだ熱が残っている。
二人は顔を見合わせたあと、扉のほうを見る。
すると明かりを遮る影が二つ。
「りっちゃん、恵? いるの?」
「にゃはは、ばれた?」
「……馬鹿里奈、お前のせいだぞ」
がちゃりとドアが開き、二人が入ってくる。室内の明かりはついていないが、それでもその表情は想像できる。
里奈なら舌をだして、恵なら眉間に皺を寄せているのだろう。
「……二人とも、見てたの?」
由香は落ちた毛布を掴み、前を隠す。いくら同性とはいえ、愛を交わした肌を見せるのは抵抗がある。
「どうだった?」
「うん。すごく気持ちよかった」
野球の試合結果でも伝えるような彼に、由香は思わず耳を疑う。
「ユカリン、機嫌直った?」
「な、直るわけないでしょ! んもう、皆出て行けって言ったのに……」
「コウは中に入れといてか?」
「恵!」
「いや、なに、そのな。由香が飛び出していったんで、さすがにあたしらも心配になってさ、んで、元凶であるコウを問い詰めたわけさ」
「ていうかユカリン、放課後、いつもエッチなことしてたんでしょ?」
「あ、それは……その」
友人を欺いてきた放課後を思い出すと、返す言葉も無い。うまい言い訳も思いつかず、毛布を頭から被ることでやり過ごす。
「幸太君のらんちき振りってさ、誰かさんの放課後のイケナイ遊びが始まりだったわけだろ」
きっかけはあくまでも幸太の手淫。しかし、彼の自慰の対象は由香。そして放課後に彼を射精したのも、その後に咥えてあげたのも、セックスを意識させたのも、全ては……。
「すっかり女好きになったコウは里奈を手篭めにし、さらに先輩をくどき、しからばあたしまで押し倒してきた」
「恵、僕はそんな」
「里奈、初めてだから怖かったな。でも、コータ、「幸せにしてあげるから」って言うから、騙されちゃった」
「ほんと? 幸太ちゃん」
嘘であるのは目を見なくともわかる。ただ、性的に奔放になった彼を懲らしめよう
と、由香は敢えてそれに乗る。