cure side-Rino-3
「そんな目で見てもだめ」
そんなぁ!
理乃の上目遣いが効かないなんて初めてだよぉ。
なかなか手強い。
でもそんな男らしいとこもますます好きになっちゃう。
「だめなのぉ…?」
プラス甘えた声だ!
あっ、少し狼狽えた。
もう一押し!
「だめ…?」
「俺の事、何て呼ぶつもり?」
それはもう決めてあるの。
「あっくん」
理乃の言葉にううっと唸って手の平でおでこを抑えてる。
しばしの沈黙の後。
「…わかったよ」
んふっ。
理乃の勝ち!
「絶対だからね。約束だよ」
差し出した理乃の小指にあっくんは小指を絡ませた。
あっくんはサッカー部に入っている。
ポジションはキーパーなんだな。
理乃は基本、由香と忍と帰るけど、やっぱりあっくんと一緒にいたくて、たまに部活終了を待ってたりする。
理乃としてはグラウンドに下りて間近であっくんを見たい。
でも、照れ屋さんなあっくんは理乃がいると気が散るらしい。
理乃としては悲しいんだけど、あっくんの邪魔をしたくないから仕方なく校舎の窓から見学する。
練習中の真剣な顔やしっかりセーブ出来た時の笑顔、休憩中に友達とふざけてるあっくん。
理乃に向ける表情とまた違ったあっくんが見れる貴重な時間。
それが嬉しくもあり寂しくもある複雑な心境。
あっくんの全部を理乃が知りたいなんてワガママかなぁ?