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フニと僕の成長記
【家族 その他小説】

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フニと僕の成長記4-2

「フニ?」

【クゥ、クゥ、クゥ、クゥ!】

怒濤の白鳥ラッシュはまだまだ続きます。
フニは白鳥を、目を白黒させて見ています。というか目を離すことが出来ないみたいです。ていうより、そのまま銅像みたく固まっちゃってるんで嫌でも見ちゃうみたいです。

【クゥ、クゥ、クゥ、クゥ!】

僕はリードを引っ張ってみますが全く動きません。
その内とうとうペタンとお座りの状態になってしまいました。
腰が抜けたんですね、たぶん。

【クゥ、クゥ、クゥ、クゥ…】

最後の群れが空の彼方に消えていきました。
何か熱い視線を感じ、僕はフニを見ました。

『…だっこ』

泣きそうでした。
全然動けそうにありませんでした。

「白鳥にビビったの?」

『だっこだっこ〜。だっこだっこ〜』

「…もう」

フニの長毛に雪が玉になって大量に付着していました。だっこするとそれが溶けて僕のダウンがびちょびちょになりました。
だけどフニが僕の肩をガッチリ掴んで離さなかったので、濡れたまま帰宅しました。
ちなみに白鳥が電柱にとまってるカラスに代わっても、同じような現象が起きました。




雪でびちょびちょになってしまったので、僕とフニはお風呂に入ることにしました。
ちょうどフニから芳しい臭いも漂っていたことだし。

「フニ、お風呂」

『え!?』

そう呼び掛けると、信じられないというような顔で僕を見てきます。

「お・ふ・ろ」

『……』

もう一度言ってみました。ゆっくり、はっきりと。
するとみるみるうちに、フニが暗くなっていきます。
満開の花が枯れていくようです。
首落ちちゃうよっていうぐらい項垂れています。
この世の終わりかと思うほど落ち込んでいます。しかも、心なしかフニの周りは薄暗い気がします。
闇をまとっているのでしょうか。

「フニ」

あまりにも哀れなので名前を呼んでみました。
死んだ魚みたいな目で一瞬こちらを見ると、またすぐに背を向けて座ってしまいました。
たかがお風呂にそこまでビビらなくてもいいような気がするのですが…。
こんな時は自らの足ではもう歩けなくなっているので、僕はフニを持ち上げてお風呂場へ向かいました。
死んでるのかと思うほどダラリとしていました。


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