青いホース-6
「本当にきみが殺したの?」
男のひとの声はただ淡々としていて、責めるようなものではなかった。そのことに不思議と驚かなかった。このひとはきっと責めないのだろうなと思っていた。なんとなくでしかないけれど、そんな気がしていた。だから話したのかもしれなかった。
私は声を出さずにただ頷くことで肯定を示す。すると、
「ウソだよ」
「……なにが?」
「きみが殺したっていうの、ウソだ」
このひとは一体何を言い出すのだろう。
「嘘じゃないし、あなたに何がわかるっていうの」
「わかるよ。絶対、ウソだ」
言い切って、私をじっと見つめてくる。ぱっちりと丸い瞳がまっすぐに私を見ている。どうでもいいけれど、ズボンが飛沫でまた濡れているの、気付いていないんだろうなあ……。
「きみは優しいひとだ。きみのパパも、ママも、すごく優しいひとだよ」
「なんでそんなことが言えるの。あなたが、私と私の家族の何を知ってるっていうの。っていうかほんと誰なのあなた。あとここ花とか何も生えてないし、雑草だし、水やりされても困るんだけど」
「種植えた」
勝手に植えるな!