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電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿
【ファンタジー その他小説】

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電波天使と毒舌巫女の不可思議事件簿 ―桜編―-5

「……と、いうわけで……」
 佳奈が説明している間、彩花は心臓が爆発しそうだった。
 そんな彩花の気持ちを知ってか知らずか、今ここに神主はいない。〔現象〕はあの桜だけではないのだ。
 というわけで、佳奈が今話している相手はいつもふわふわしたの、支離滅裂で電波な女性だった。
「うゎー◎◎◎◎ 考えられへん、考えられへん′……美由貴マジギレするわぁ†††」
 すみません偽関西弁しないでください髪の毛ギチギチむしり取らないで下さい目を見開かないで下さいこちらを睨まないで下さいごめんなさい……
「ウッソー♪°ふっふー」
「……」
 いきなりの満面の笑みに豹変する目の前の存在が全く掴めない。佳奈は目の前の存在がどういうヒトがなのか、絶対分かってないに違いない。
「まあ私達が巻き込んだので、出来ることはしようとは思います」
「オギノシキ」
「……は?」
 クールでドライな佳奈が呆気にとられるのは珍しい。……オギノシキって、避妊法の?
 無論彩花も呆気に取られていて、その間美由貴は中空を見つめていた。じーっとただ目を見開いて睨んでいる。
「ああはいはい。プクトの出番なのですねわかりましたですよー」
「うわっ!?」
 いきなり中空から謎の白い生物が現れた。なんだこの訳わからない空間は。
「ささ、佳奈はプクトと一緒に家に消火器取りに行くですよー。道中プクトが色々説明するです」
「しょ、消火器? あれいるの?」
「いるみたいですよー。まあとりあえず、取りに行くのです」
 促されるまま佳奈は神社を出て行ってしまった。
 故に、今この神社にいるのは美由貴と彩花の二人きり。
「…………」
「…………」
 美由貴は彩花をまるで空気のように目にも入れない。こちらとしては会話、出来るわけがなくただ黙っているしかなかった。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「…………………」
「…………………」
「………………………」
「………………………」
「……………………」
「……………………」
「…………………」
「…………………」
「このばかたれー!!」
「も、申し訳ございません《ミュリエル》様!!」
 天界の中で一番位の高い《特位天使》とただの平である《下位天使》の彩花では、本来なら会話すら容易には許されないのだ。そもそも《特位天使》が現世にいること自体が異常な事態なのだが、それより天界では神と等しい地位の《特位天使》と謁見している現在が彩花には重要だ。
「あ、あの。私、現世に情報収集に来ている《下位天使》で……え、あ、その、ミュリエル様の思惑のお邪魔になるようなことをするつもりじゃなく、あ、そもそも私などがミュリエル様の思惑など知る由もないのですが」
「黙れぇぇ!! お前に自由はない!!!」
「申し訳ありません申し訳ありませんごめんなさい!!」
 天界では《特位》《上位》《中位》《下位》と能力や適性で位が分かれている。彩花は一番下の《下位天使》で、天使は六割がそうだ。残りの三割は《中位》、一割が《上位》となる。《特位》は本当に特別で、三人しかいない。ミュリエルはその三人の一人なのだ。


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