僕らの関係 残るヌクモリ。-20
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美雪に好きなようにさせていたのは、なにも酔いが回ったからじゃない。
休みの日は由香に会えず、性欲を持て余し、一人寂しく処理をする。たまに携帯で彼女の声を聞きながらしてみたりするが、無料通話分と相談する必要がある。
ブリーフから零れる陰茎はしっかりと包皮が剥けている。ミミズの頭のような亀頭を見た彼女はがっかりとした様子でそれを握る。
「んでも、臭くないでしょ?」
「んー、ちょっと物足りないの」
「だって、汚いのやじゃない?」
「私、ビョーキだから」
「病気?」
「んーん、ビョーキ。あ、でも性病とかじゃないよ。心のビョーキなだけだから」
心の病気というと鬱病だろうか? 普段の美雪を知っているわけでもないが、彼女の雰囲気、仕草からは感じられない。
「ユッキー、どういう事?」
「んとね、私、幸太君みたいな子が好きなの」
「僕を好きなのは嬉しい……けど、でも、あ……、それは病気じゃ……」
雁首を丁寧になぞる美雪の舌に、幸太は上擦った声を漏らす。
「だよね。誰を好きになってもいいよね。でも……やっぱり変なんだ、私」
自分を好きな人が病気となると、由香や里奈もそうなのだろうか。それは失礼な話ではないだろうか? 彼女や自分にとって。
「そんなことないよ。ユッキーは変じゃない! やぁ……」
力んだことで亀頭が膨らみ、ザラリとした舌先の刺激をつぶさに感じてしまう。その間も右手がすばやく陰茎を扱き、淫水を絞り出す。
美雪は唾液を垂らし、さらに滑らかにすると、頬を朱に染めて幸太を見る。
「嬉しいな。私さ、いっつも男の趣味とか笑われちゃうんだよね。恵くらいかな、哂わなかったの」
――そういえば恵は何処に行ったんだろう。
「恵ってさ、うふふ。本当はねえ……」
「先輩、怒りますよ」
ハスキーボイスが居間に飛び込む。視線を向けると、恵が豚肉の切れ端を食べながら、こっちを見ていた。
「恵……、何処行ってたの?」
「ちょっとおつまみもらいに。それより先輩、勝手に人のこと喋っちゃ困ります。幸太も取り上げますよ」
ぷりぷり怒りながら恵はソファに座り、幸太の身体を奪うように抱き寄せる。