愛しい君に、誓いのキスを-3
あの日、とてもおかしそうに笑う夕が、無性に愛しくなってしまって、思わずおでこにキスしてしまった。
―いつから、僕は、夕が好きだったんだろう。
きっと、夕を無意識に、抱き寄せて眠ってしまった時には、もう好きだったのかもしれない。
自分では気がつかないうちに。
元々、恋とか、愛とかには興味はなかったし、自分の気持ちにも疎かったみたいだ。
気がついたら、夕が傍にいる、それが心地よくて。
ニコニコと、嬉しそうに、夕が笑うと、僕はそれだけで、幸せな気持ちになれるんだ。
「あのさ、夕のこと、すごく好きだから」
そう口にしたら、とてもむずがゆくて、でもそれでいて、すごく幸せな気持ちになった。
ああ。本当に、ただ、ただ、夕の事が好きなんだって、再確認した。
ふっと、目を細めて笑う。
「―何か思い出していたのですか?」
「内緒だよ」
そっと、夕の唇を重ねて、啄むように、何度もキスをした。
下唇を、はむっと、甘噛みする。
「ぷはっ 唇、食べられちゃいました」
夕は、恥ずかしそうに笑う。
そんな彼女が愛しくて、僕は、ぎゅっと抱き寄せて、ヨシヨシとしてやる。
「朔さんは、彼女に、とってもあまーいですね」
「そうかな?よくわからないけど」
「前から、きっと彼女には、もっと優しいんだろうなって、思っていましたもん」
「そっか、優しくしてるつもりだけど、どうかな?…彼女さん」
「とっても満足です」
へへへっと、夕が笑いながら、言った。
夕なら、いくらでも、甘やかしてあげるよ。
君が、幸せそうに笑うなら、いくらでも。
誓いの代わりに、僕は、夕のおでこに口づけを落としたのだった。