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僕らの関係 プロローグ きっかけ
【学園物 官能小説】

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僕らの関係 学園祭-10

***―――***

 業務用スーパーでの買い物は既に必要なものを伝えていたらしく、店側が会計の準備をして待っていた。由香は支払いを済ませ領収書を受け取ると、一礼して店を出る。
 時計を見るともう八時に近くなっており、通りを行く人もまばらで、皆一様に家路を急いでいる。
 里奈は由香から買い物袋を受け取り、中身を確認する。一つ一つ指差し確認をする仕草は子供っぽいが、彼女のふわふわした雰囲気にはよく似合っている。おそらく彼女自身、それを理解したうえで演じているのだろう。
 抜けているように見えて下準備を怠らないというか、根回しをする彼女を、由香は「あざとい」と評価している。

「ご苦労様。学園祭の日は期待しててね、里奈とびっきり美味しいクッキー焼くから」

「期待してるわ。でも、塩と砂糖は間違えないでね?」

「ユカリンまでイジワル言う。里奈、そんなことしないもん!」

「どうだかな、この前は結局味見させてくれなかったし、ほんとは間違えたんじゃないか? コウ、どうたっだんだ?」

 腕を組んでジトリと睨む恵は、唯一味見をした幸太に証人喚問を行う。

「そんなこと無いよ。里奈ちゃんのクッキーは美味しかったよ」

 にこりと微笑む幸太に言われると、それ以上は恵も追求は出来ず、「ふーん」とつまらなそうに言うだけ。

「コータ……。次も味見してね」

「うん、でもあんまり食べちゃったら売り物がなくなっちゃうかもね」

「たくさん焼くから平気だもん」

 しばし見詰め合う二人だが、由香のコホンという咳払いが現実に戻す。

「あらあら仲がよろしいわね。羨ましいわ」

「そんなこと無いよ。ほら、もう遅いし、早く帰ろうよ。そうだ、僕皆のこと送ってくよ。暗いし、危ないからね」

 わざとらしく声を張る幸太だが、女子と比べても背が低く、見るからに頼りない彼はむしろ送られるほうだろう。

「コウに送ってもらう? なんかその方が危なそうだな」

「ええっ! 僕はそんなことしないよ!」

 真っ赤になって反論する彼に恵は目を丸くすると、ややあってから目を細める。

「そんなこと? あたしは別にコウが何か出来るなんて思ってないけど……、アブナイことする気あったの?」

 言葉の意味合いを取り違えたと知る幸太だが、既に里奈も恵もあの日の課外授業のような視線になっている。

「ちょっと二人とも……、いいかげんにしないと幸太ちゃんがかわいそうだよ」

「かわいそうって、変なことしたのって由香だろ?」

「ユカリン、コータのアレ、アレしてたし……」

「うっ、それは……」


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