密心〜みそかなれど〜-3
「……言えんくらい好きなん?」
ちがう、そうじゃないの、そうじゃない
首を横に振っても蔵ノ介さまの指先は戯れるのをやめず、蜜をからめ蜜を塗り……座敷には女の匂いがけぶりたつようでくらくらする
「なんや苛つく……」
「ぁ!ふぁ…すみ…っん!せぇ…ぁん…!」
「謝んな……余計むなしなる」
訳も分からぬまま謝れば、苛立たしげに吐き捨てられるのに、指先だけはどこまでも優しく翻弄するばかり
それを最後に秘芽をめくられ下肢ごと身動きとれぬまま蜜を啜られ、達した
頭のなかはチカチカ……閃光が走り続け、爪先はひくひくと引き連れ官能の波が未だ小さく寄せては返す
「いくで…」
「ゃ、ぁ!ぁあん、はっ…ん!ぁあ…はぁっ、はぁ…っ…蔵ノ介、さま、?」
内に穿たれたまま浅い場所で、ときたま気が向いたように揺らめく以外……何もなさろうとしない蔵ノ介さまを伺う
波はまださざめいて、今にも動きだしそうな腰を強く掴まれているのに抗いたい
なのに力がまるで入らない
くたりと蔵ノ介さまの腕に頬をすり寄せながら、布団にしなだれるしかできない
下肢だけが自分のものでないように蠢きだそうとゆらゆらするのを、頭のどこかぼんやりしたとこで感じる
「焦れとる…?」
「は、い…っ、早く早く…ぅ、動いてぇ…っ」
「なら言えや…っ!誰思い出してん……慕っとるんや……!!みそか…!!」
何をそんなに固執されるのかぼんやりした頭でうつらうつら……警報がなるようになぜか考えねばと思いながら、答える
「…ぼたん、おいら…っんに…あり、…す」
切れ切れに答えると動きが止まった
にぶくのろい頭で蔵ノ介さまをうかがう……すると
「……なんや、それ」
どこか肩透かしをくらったように呆然となさってから
――破顔された
……こちらがわけがわからない
伝わっていないのやもしれない
「だから…!牡丹花魁に、ありん……あぁぁぁあぁぁ……っっ!!」
性急に動きだされた蔵ノ介さまに喘ぐしかできないまま、揺さぶられる
官能は波どころでなく、今や蟻地獄のように引きずり込まれ呑まれなぶられる
引きずり込まれ、……もう戻れない