けんぽなし〜クスリ〜-8
空が円に追いついたのは、近くの公園だった。
「っ痛いっ何するのよっ」
円が、掴まれた腕を払おうと、もがく。
「何もしねーよ暴れんなっ」
「ーっ……」
走ったせいか、私は言葉が出てこない…
「なんなのよ!?いきなりゾロゾロっ」
円は、空の手を払い、掴まれていた腕をさすりながら言った。
「ー…っブログ見たのっ止めたいと思っているんでしょ?っー…」
私、円に詰め寄った。
「!!っ…なっ…何よ…ブログって…」
円、目をふせる。
バラバラバラバラ…
その時、空が円の落としたカバンの中身をばらまいた。
「なっっ、何するのよ!!」
円が手を伸ばした…瞬間、空が、それを取り上げた。
そう…
薬だ…
それは、錠剤になっていて、薬局なんかで売っている頭痛薬や胃薬のそれと変わりない…
「返してよっっ!!」
円が叫ぶ。
ー………
「っー…円っ、止めようよっ、止めようよっ、こんなのっ円も止めたいんでしょ!?」
私、円の前に立ちふさがった。
パンっー
乾いた音が響く…
円が、私の頬を叩いたのだ…
ーっ……
「あんたには分かんないっ!!」
円の目から涙が溢れる…
「…円…」
「あんたみたいに、細くてっ可愛いくてっ…分かんないよっ私の気持ちなんてっ !!分かんないっっ分かんないっっ分かんないっっ」
「…円……」
私の頭に円のブログが浮かぶ…
私は円にかける言葉がみつからない。
「ばっっっかじゃねーの?」
空だ…
円の前髪をガシッと掴んだ。
「お前はこんな薬なくても可愛いだろ!?可愛いよっお前はっ!!可愛いんだよっ!!そのままで可愛いよっ!!誰だ?お前をブスなんて言った奴っ!!連れてこい、ぶっ飛ばしてやるからっ!!」
空の言葉が終わった途端、円は座り込み…泣き出した…
空、円の頭をぽんと一叩きし、
「大丈夫、お前は可愛いよ」
そう言った…
円のすすり泣く声が誰もいない公園に響き、私達はそっと円を見守っていた…
円の泣き声が聞こえなくなったとき…
空が薬を私の顔に押し付け、言った。
「…貧乳…治るかもよ〜…」
ー!!……
「さっ…最低ーーーーーーーー」