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『部室』
【学園物 官能小説】

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『部室』-1

今日は高校生活スタートの日。県でも有数の進学校に入学して喜んでいたが、流石は進学校、課題の量が半端なくて受験勉強よりも大変だった。
疲れもあってウトウトしながら臨んだ入学式をキッカケに、私は人生を変える大きな恋をした。
中学が同じで2コ上の先輩だった達哉さんが私を向いていたから…。中学のときからずっと憧れていて、この高校に決めた理由のひとつも、達哉さんがいたからだ。
ボォっとなっていた私もそれに気付いてなんだか逆にドキドキしてしまった。

部活はサッカー部のマネージャーをするつもりでいた。サッカー好きも理由の大半を占めているが、もともと中学から続けてきた競技にも迷った。でもやっぱり達哉さんの存在が大きくてサッカー部に入ることにしたのだ。
達哉さんの近くにいられる……ただそれだけで幸せだった。点を決める達哉さんを見る度に本当に嬉しかった。
丁度2ヵ月が経った6月、練習が終わり一番最後の片付けも終わって部室に戻ると達哉さんがひとりでいた。自分で顔が赤くなるのがわかるくらい緊張しながら部室に入った。
『た、達哉さんお疲れ様でしたぁ』
『お疲れ様ぁ!!遅くまで大変だろ。一年生が1人だけだってわかってるならマネージャー手伝えばいいのにな』
『ぃぇ、普段優しくしてもらってますから』
なんていう会話が凄く嬉しかった。しばらくして達哉さんが着替え終わったら、改まった顔で私にこう言った。
『キレイになったょ』
『…?エ?』訳もわからずに私は耳がおかしいんじゃないかと疑った。
『…ぁ、ぃゃ……キレイになったょ…』
『そんなコトないですよ。でも達哉さんに言われると嬉しいです。』
と妙に正直になっていた。
『ホントだよ。オレ視力いいし笑』
『顔だけで見てるんですかぁ笑??』
なんて冗談混じりになって中学の頃やサッカーの話をしていた。気付けば22時をまわっていた。
『遅くなっちゃってゴメン……送るょ』
『大丈夫ですょ。私足速いし笑』
『オレより遅いからダメ。キャプテン命令!!』
願ってもないことだった。
外に出たら雨が降っていた。私も達哉さんも傘を持ってきていなかった。
『しょうがないなぁ…』
と言って達哉さんはジャージを取り出して私にくれた。
『行くぞ!!』
と言ったと思ったら手を引かれて走っていた。
近くの銀行(雨宿り)まで着くともう息が上がっていた。走ったことと突然のことで頭がいっぱいだった。そして私は涙が溢れてきた。夢にまで見た達哉さんと今手を繋いでいること、今となりに達哉さんがいること……。
心配した達哉さんは大丈夫?と聞いてきて、私を抱きしめた。
ずっとこのままでいて。ドラマみたいなセリフが自然に浮かんだ。
そして私たちはキスをした。私のファーストキスは達哉さんだった。
それから付き合う様になり、まわりに悟られない様に少しの時間だけ体育館裏で話したり、帰ったりする日が続いた。
いつもの様に部活が終わって部室で2人になった。
『今日はメシ行く?』
ご飯なんて初めてで私は舞い上がっていた。そして部屋を出ようとしたら、急に腕をつかまれた。
『ジュン、好き』
『私も…』
キスをする。達哉さんは私の肩を抱いてからもう一度キスしてきた。
『なぁ、今日オレしたいんだ』
戸惑いを隠せない私は黙ってしまった。
『お互い初めてだろ?オレ、ジュンのこと大事にする。上手くいかないことあるかもしれないけど、大事にする。』
変わらない優しい眼で世界で一人だけ私を見つめている。どんなに短い命でも、どんなに明日が辛くても達哉さんといられるなら私は幸せだと思った。


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