憂と聖と過去と未来 2-4
あたしは食事を終えて席につくと、今朝聖がしていたように体を倒して突っ伏してみた。
こんな話をして思ったのは、聖はもしかしたら、あたしが佐山さんに協力したのだから、あたしの顔を潰さないために聖は佐山さんと付き合うことにしたんじゃないかということ。
とても聖がたった数日で、名前も顔も初めて見るような女子と付き合うとは思えなかったからだ。
まあ、所詮は妄想だし、そんなことを考えても意味がないうえにきりがないので、そんな自己中心的な考えはすぐに振り払った。
しかし、この考えが後々、あたし自身を苦しませることになる。
***
放課後。
二組の教室に行くと、聖はもういなかった。
一応まだ教室に残っていた人に訊ねたところ、少し前に女子と帰っていったらしい。
なんとなく予想はしていた。
でも、聖は毎日一緒に帰ろうって言ってくれたんだ。
これが恋愛なのか…
結局、友達が言っていたことが正しかった。
たとえ聖でも、幼なじみより恋愛を優先する。
二人が長年かけて築き上げた関係でさえ、いとも簡単に崩れる。
「聖ぃ…」
あたしはひたすら流れ出る涙をごしごしと雑に手で拭うと、黙って一人で下校することにした。
階段を降りて昇降口に出る。
下校時間からあまり立っていないというのに閑散した玄関を見ると、なんだかあたしの今の心境を表現しているように思えた。
こんなはずじゃなかった。