Summer〜君がくれたもの〜[咲弥編]-4
『Replay』
暗い帰り道。あまり来ない商店街から直接家に帰るのは初めてのことだった。一人であんなところへ行ったのも初めてだった。帰るのに時間が掛かるのは仕方ない。
・・・。正直に認めた方がよさそうだ。いくら弁解したところで、それが解決になるわけではない。道に迷った。しかも暗い。ちょっと心細かったりもしてみたいした。
悠木「日頃の行いが悪いからか?・・・。以後気を付けよう」
※「フフフ。変な人」
悠木「ん?」
後ろを振り返れば、そこには綺麗な女の子。お約束通りの展開だが、射的場にいた女の子だ。
悠木「いや、世の中こんなに上手くいくはずがない・・・」
咲弥「なに言ってるんですか?さっきから」
悠木「なんでもないさ。なんでもないこともないか」
咲弥「変な人ですねぇ」
悠木「そうじゃなくて。道に迷ってんの。俺」
咲弥「奇遇ですね」
悠木「え?」
咲弥「私も迷ってたんです。しかも、友達とはぐれたきりで。私の勝ちですね」
勝ち負けの問題じゃないだろ。しかし、自分がつっこめる立場じゃないので、悠木はその言葉を飲み込んだ。
咲弥「射的場に居た人ですよね?」
悠木「ああ」
咲弥「私、もう来ないでくれって言われちゃいました。一回目で入店拒否なんて酷いですよねー」
悠木「それだけ上手いってことだろ?なんであんなに上手いの?」
咲弥「私、結構ああいうゲーム類得意なんです♪」
悠木「へぇー。俺も苦手じゃないけどね」
咲弥「じゃあ、今度勝負しましょ。負けませんよ」
悠木「お手柔らかにね。・・・・・・ところでさ」
咲弥「はい?」
悠木「どこに向かって歩いてるの?」
咲弥「さぁ?」
この子・・・
悠木「ま、そのうち知ってるところに出るかな?」
咲弥「そうですね。でも、もう8時まわってますよ?」
俺は言葉がでなかった。もしこの子と出会ってなかったら・・・。今頃は無事に帰宅していたかもしれない。でも、俺はこの子と出会えて。話しができて嬉しかった。